タイトル |
内外の価格変動が農業生産・食料供給に及ぼす影響の評価モデル |
担当機関 |
農業研究センター |
研究期間 |
2000~2000 |
研究担当者 |
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発行年度 |
2000 |
要約 |
農産物価格変動波及モデルを利用することによって、為替変動や特定品目の輸入価格・国内価格の変動、在庫に伴う価格波及の遅延、特定品目の価格政策・在庫政策が農業生産・食料供給に及ぼすコスト面からの影響を計量的に評価できる。
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背景・ねらい |
国際化の進展の中、農産物や農業生産資材などの価格変動、為替変動が国内の農業生産・食料供給に及ぼす影響を在庫水準も考慮しつつコスト面から計量的に評価するため、産業連関モデルを基本として価格変化の時間経過を波及計算過程に織り込んだ農産物価格変動波及モデルを開発した。
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成果の内容・特徴 |
- 農産物価格変動波及モデルの特色(図1)
本モデルは、産業連関分析で用いられるコストプッシュ型のアルゴリズムを基本としているが、これに加えて、先入れ先出し法による在庫変数を導入して、価格波及の時間的遅延をトレースできるようにした。価格変化の影響を分析目的に応じて柔軟に評価できるように、為替変動や穀物、原油等の特定品目の輸入価格の変化、特定品目の国内価格水準や在庫水準に対する政策関与などを外生値(シナリオ)として設定することによって、農林水産物・食料品を中心とした183部門別に価格・コストの変化が得られるように設計されている(平成7年全国産業連関表を使用)。
- 本モデルを使った影響評価の利用例
(1)原油・天然ガス、石油製品の輸入価格が10%上昇した場合の影響(図2、表1) 農業生産活動に対するコスト面からの影響を耕種部門及び畜産部門についてみると、それぞれ0.07%、0.08%のコスト上昇と試算される。これを、コストアップの大きな要因となる代表的な農業生産資材別にみると、石油製品や電力は価格波及のタイムラグ期間が短く、それぞれ3.59%、0.68%の上昇、また、飼料、化学肥料、農薬などは、半年から1年のタイムラグ期間を伴いつつ0.1~0.2%程度の上昇となる。 (2)円安下における国内飼料価格の据置の評価(図3) 10%の円安、即ち、輸入品価格が一律に10%上昇すると、輸入飼料穀物への依存度が高い飼料の国内価格は4~5%程度のコストアップ要因になると試算される。そこで、仮に畜産農家の経営安定を図るため国内飼料価格を据置いた場合の畜産関連産業へのコスト低減効果を試算すると、養鶏、ブロイラー、養豚で2%程度、肉用牛、酪農で0.6~1%程度のコスト低減になるとみられる。さらに、この政策効果は畜産加工品等の生産を通じて、食料品卸売価格に対しては0.1~0.2%の物価引下げ効果をもたらす。
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成果の活用面・留意点 |
本モデルによる評価結果は、関係行政部局が物価対策、資材対策等の施策を実施する上で必要な基礎資料として活用することができ、今後、関係行政部局に提供し、さらに必要な改良を加えることとしている。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
肥料
病害虫
加工
経営管理
コスト
低コスト
鶏
肉牛
乳牛
農薬
豚
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