コクゾウムシの発育阻害物質探索のための人工米によるバイオアッセイ

タイトル コクゾウムシの発育阻害物質探索のための人工米によるバイオアッセイ
研究期間 1995~1995
研究担当者 宗田奈保子
池長裕史
中北 宏
藤井 浩
発行年度 1995
要約 穀粒内でのみ生育するコクゾウムシに制御効果のある発育阻害物質を人工米により簡易に判定できる方法を開発し、種々の植物由来物質を対象にした探索が可
背景・ねらい コクゾウムシ(Sitophilus zeamais)は収穫後の穀物類、特に、わが国におい
ては米の流通・貯蔵過程で加害を行う重要な害虫である。本種は米粒のように一
定の硬度をもった固形物のみに産卵し、その内部で発育過程を経るため、発育阻
害物質の探索を行う場合、通常のバイオアッセイ法は応用できない。そこで、本
研究では、コクゾウムシの発育阻害物質の探索に有用なバイオアッセイ法を開発
し、従来、不可能であった他の植物由来物質のコクゾウムシに対する制御効果に
ついて明らかにする。
成果の内容・特徴
  1.  玄米粉(<70メッシュ)を水と4:3の割合で混練し、離型性の良いテフロ
    ンリングを型枠として人工米を成形した( 図1、図2)。人工米へコクゾウムシに産卵させ、玄米との比較を行ったところ、発育に 要する日数と羽化数ともに同様であることが明かとなった(
    表1 )。人工米は容易に水で溶解するので、コクゾウムシの全発育過程を追跡観察
    することが可能で、阻害物質がどの段階でコクゾウムシに作用するかを判定する
    ことが出来る。
  2.  阻害試験は、供試物質を玄米粉と混合調整した人工米をバイアルに10~20粒
    入れ、3~5対のコクゾウムシ成虫を、25℃、70%rhの環境下で1週間産卵させ
    、その後の発育状況とともに、発育日数及び羽化数を観察した。
  3.  オリザシスタチンⅠ及びⅡ(米に含有されるプロテアーゼインヒビター)、 α-アミラーゼインヒビター(インゲンマメより精製)、キチン結合性蛋白CB1(Bacillus
    licheniformisの生産蛋白)について調査したところ、オリザシスタチン及びCB1
    は、0.2~0.3%の濃度で発育遅延効果が認められたが、完全な致死には、前者
    では1%、後者では0.5%以上を必要とした。
  4.  食用豆類は、コクゾウムシの加害を受けないことが知られているので、その
    阻害効果をダイズ、インゲンマメ、アズキ、ササゲについて調べたところ、ダイ
    ズは0.1%で発育遅延効果をもち、0.5%で全てを致死させることが判明した。
  5.  ダイズ成分のうち、阻害の想定されるトリプシンインヒビターとサポニンに
    ついて、コクゾウムシの発育日数及び内的自然増加率への影響を調査したところ
    、後者は0.025%で顕著に発育を阻害し、0.1%で完全な羽化阻害を示した( 表1) 。
成果の活用面・留意点 本法で得られた成果は、近い将来、遺伝子組み換えによるコクゾウムシに食わ
れない米の創出のために有用となろう。
図表1 224426-1.gif
図表2 224426-2.gif
カテゴリ あずき いんげんまめ 害虫 ささげ 大豆

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