デンプンの糊化特性によるクリ果実の肉質評価法の開発

タイトル デンプンの糊化特性によるクリ果実の肉質評価法の開発
研究期間 1995~1997
研究担当者 石川(高野)祐子
田中敬一
発行年度 1995
要約 クリ果実の肉質の簡易的評価として、Rapid Visco Analyserによるデンプンの糊化特性測定を用いて判別することが可能になり、さらに -アミラーゼの食味
背景・ねらい  クリ果実における食感(肉質)は、ポクポクとした、ねっとりした、べちゃ
べちゃと水っぽいなどと表現されている。しかし、この食感は美味しさを決める
重要な要素であるにも関わらず、測定法が確立されていないため、育種の現場で
は生果実の比重を用いる方法が使われている。クリ果実に多く含まれているデン
プンは加熱によってその性質が変化するため、クリ果実の美味しさを測るには肉
質に重要な関わりを持つデンプンの性質を測定する必要がある。そして、クリの
肉質評価法を確立することは、より美味しいクリ品種を育成したり、品種の特性
に合わせた加工法を開発するために有効である。
成果の内容・特徴
  1.  クリ果実の肉質評価法の確立のため、官能評価の粉となる品種を選び、それ
    ぞれのデンプン含量やその性質、加熱による糊化特性値の測定および、デンプン
    分解酵素である α-アミラーゼ活性などを分析し、これら分析値と食味評価と
    の関係を解析した( 第1表 )。
  2.  クリ果実の果肉凍結乾燥粉末を水に懸濁し、粘度測定装置(ラピットビスコ
    アナライザー)を用いて試料を加熱・冷却させながら粘度測定を行ったところ、
    α-アミラーゼ阻害剤を加えて測定したときに得られた糊化特性値と蒸しグリの
    官能評価との間に高い相関が認められた。そこで、クリ果実の肉質をデンプンの
    粘度測定法を用いて判別することが可能になった( 第1図)。
  3.  従来の比重法を用いた判定では果実に含有されるデンプン量が多いほど良い
    肉質であるとされてきたが、'筑波’のようにデンプン量が多くても評価の低い
    品種なども認められ、α-アミラーゼも食味を決定する重要な要因になることが
    示唆されている。また、α-アミラーゼはデンプンの糊化に関与する酵素である
    ため、果実含有デンプン量が多く、かつ酵素活性も高い‘利平グリ’のような品
    種ではねっとりとした食感を与えるものと考えられた。
成果の活用面・留意点 クリ果実を蒸煮したときの食味の良否を判別する方法として利用することがで
きる。ただし、甘煮などの加工用途における適用についてはさらに検討が必要で
ある。
図表1 224432-1.gif
図表2 224432-2.gif
カテゴリ 育種 加工 乾燥 くり 評価法 品種 良食味

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