ガム質多糖製造技術の開発

タイトル ガム質多糖製造技術の開発
研究期間 1995~1995
研究担当者 小林昭一
発行年度 1995
要約 澱粉にマルトースなど還元末端をもつ糖質を混合して高温撹拌加熱し、物性を変換させてガム様特性が付与できることを見い出し、新規なガム質澱粉、その製
背景・ねらい 従来のガム質糖質としては、グアーガムなど各種のものがあり、特にアラビア
ガムは油脂分散性に優れ、各種食品素材存在下でも安定な乳化物を得ることがで
きるので、各種に利用されてきたが、原料の不足で該ガムの入手が困難になり、
高価でもあるので食品素材としての使用が困難となってきた。そこで、原料とし
て多量にある澱粉を用い、その代替品、製造方法を開発する。
成果の内容・特徴
  1.  トウモロコシ澱粉にマルトースを添加混合し、190℃高温加熱を行い、その 変化を追跡したところ、
    図1ように、37.5~25%添加で水不溶性の褐色粉末が得られた。水不溶性画分
    は少量の水(5~20%)を添加することによりペースト状になり、グリセリン、
    オリーブ油などを混合するとゴム状になり、噛み応えのある物性を示した。澱粉
    のみを焙焼してもガム質澱粉にはならず、また、糖アルコールとの混合でも当該
    ガム質は得られなかった。処理温度についてはカラメル化する温度であればよく
    、高温の場合は処理時間を短縮することによってコントロールすることができた
    。 図2 にはトウモロコシ澱粉:マルトース=3:1、トウモロコシ澱粉のみを各種
    温度で処理した時の水不溶性画分収率を示した。水不溶性画分をガムデックス(GD
    )と略称する。
  2.  GDにトウモロコシ澱粉、蔗糖、水アメなどを加えてゲルを調製し、レオメー
    ターによって測定した結果を 図3 に示した。破断距離は針を徐々に侵入させた時、ゲルが破れるまでの進入距
    離を示したものであり、GDの含有量が高くなるにしたがって長くなり、ゲルの伸
    びが良好になることが分かる。破断応力はゲルが破れる直前に針にかかる力を示
    す。これらの値からGD含有量60%以上では良好な咀嚼性が付与できることが明ら
    かとなり、含有量を変化させることにより目的に応じた望ましい物性が得られる
    。また、混合する組成を変化させることによっても物性を変化させることができ
    る。
  3.  油脂分散性は各配合試料をホモミキサーでホモジナイズし、静置した後、肉
    眼観察をした結果、GDの7.5%懸濁液では2日経過しても油脂層の分離が起こら
    ず均一に分散していた。対照のアラビアガムでは15%懸濁液でも、GD7.5%の系
    より乳化力は劣ることから、GDの乳化力の強さは著しく強力であることが分かる
成果の活用面・留意点 澱粉とマルトースなどの糖質を混合し、単に高温加熱するだけの単純な処理で
物性を劇的に変化させ、ガム質多糖を得ることができることを見い出し、生産さ
れた物質が咀嚼性で、しかも油脂分散性に優れたものであるので、その応用範囲
は著しく広いと期待される。また、油脂との混合で、カロリー低減化用食品素材
として利用でき、咀嚼性、油脂分散性に限らず老化防止剤としても利用できる。
図表1 224435-1.gif
図表2 224435-2.gif
図表3 224435-3.gif
カテゴリ オリーブ とうもろこし

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