タイトル |
n−3系多価不飽和脂肪酸が脂肪酸酸化系酵素の遺伝子発現に与える影響 |
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研究期間 |
1996~1997 |
研究担当者 |
井手 隆
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発行年度 |
1996 |
要約 |
〔要約〕脂肪酸酸化系酵素の活性と遺伝子発現の計測により、エゴマ油(α-リノレン酸)と魚油(EPA、DHA)の生理作用の違いはカルニチンパルミトイル転移酵素Ⅰの遺伝子発現の差異に基づくことを明らかにした。 |
成果の内容・特徴 |
- エゴマ油および魚油はパーム油(飽和脂肪)およびサフラワー油(リノール酸)よりもラット肝臓のペルオキシゾーム脂肪酸酸化活性を増加させた。しかし、ミトコンドリアの脂肪酸酸化活性はエゴマ油でのみ増加した。このように、脂肪酸酸化系に与える影響は両者で明らかに異なっている(図1)。
- エゴマ油と魚油は脂肪酸酸化系の多くの酵素の活性を増加させたが、3-ヒドロキシアシル-CoA脱水素酵素の活性を低下させた。活性低下は短鎖の基質を用いた場合顕著であった(表1)。
- 脂肪酸酸化系では各々のステップに複数の酵素分子が関与するため、酵素化学的手法のみではその制御機構の詳細な解析は困難である。そこで、いくつかの酵素mRNAに特異的なDNAプローブを用い遺伝子発現量を計測した(表2)。その結果、ミトコンドリア脂肪酸酸化活性に対しての両油脂の作用の違いはカルニチンパルミトイル転移酵素Ⅰの発現量の違いによるもであることがわかった。また、n-3系多価不飽和脂肪酸による3-ヒドロキシアシル-CoA脱水素酵素活性低下はミトコンドリアとペルオキシゾームの三頭酵素以外の酵素分子の発現量の違いによると推察された。
- 脂肪酸酸化系酵素遺伝子発現の調節因子である、核内リセプター、ペルオキシゾーム誘導剤活性化リセプター(PPARα)およびレチノイドXリセプターα(RXRα)の遺伝子発現はエゴマ油と魚油により増加した(図2)。
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成果の活用面・留意点 |
〔成果の活用面と留意点〕 食品が持つ多様な生理機能を遺伝子発現を指標として解析することにより、機能の明確化とその発現機構の解明が期待される。本研究は、遺伝子発現を指標とした解析がn-3系多価不飽和脂肪酸による脂肪酸酸化系制御機構の解明に極めて有効であることを示した。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
えごま
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