無蛋白質培養法による食品成分の機能検索法の開発

タイトル 無蛋白質培養法による食品成分の機能検索法の開発
研究期間 1994~1996
研究担当者 小堀真珠子
新本洋士
津志田藤二郎
発行年度 1996
要約 蛋白質をまったく含まない無蛋白質培地を開発し,ヒト-ヒトハイブリドーマおよびマクロファージ様細胞の長期継代培養を行った.これにより,蛋白質含有培地中ではその生理機能の検出が困難であった食品成分について,細胞増殖調節作用,抗体分泌調節作用を明らかにすることができる.
背景・ねらい  これまで培養動物細胞による食品機能検定には,牛胎児血清を添加した培地が用いられてきた.このような実験系では,牛胎児血清に未同定の増殖因子等が含まれていることが考えられ,検定しようとする食品成分との相互作用が問題となっていた.この問題を解決するためMurakamiらはインスリン,トランスフェリン,エタノールアミン,セレニウムを含む無血清培地(ITES-ERDF培地)を用いたヒト抗体分泌の高感度アッセイ法を開発した.しかしなお,培地に含まれる2種類の蛋白質と被検物質との相互作用が否定できず,これらの作用を完全に否定するためには無蛋白質培地中での試験成績が必要であった.そこで本課題では,新たに完全無蛋白質培地を開発し,無蛋白質環境下での動物細胞に対する食品成分の作用を明らかにすることを目的として,ヒト-ヒトハイブリドーマおよびマクロファージ様細胞株の培養を試みた.
成果の内容・特徴  従来の無血清培地(ITES-ERDF培地)からインスリンを除去し,トランスフェリンの代わりに硫酸鉄(II)を添加した無蛋白質培地(Medium920)を考案した.Medium920中でヒト-ヒトハイブリドーマHB4C5は良好に増殖し,長期継代培養が可能であった(図1A).またヒトマクロファージ様細胞株UMの長期継代培養も可能であった(図1B). ITES-ERDF培地,およびMedium920中に数種の食品成分を添加したところ,細胞増殖,抗体分泌(IgM)ともに,ITES-ERDF培地では作用がはっきりしなかった成分についても,Medium920中ではコントロール(-)との差が大きく認められた(図2).特に卵黄リポ蛋白質(YLP)では,ITES-ERDF培地中ではみられなかった細胞増殖抑制作用がはっきりと示された.また,ウシラクトフェリン(bLF)の作用もMedium920中では顕著であった.
成果の活用面・留意点  無蛋白質培地で培養することにより,培地中の蛋白質の影響を受けることなく動物細胞を用いて食品成分の機能分析を行うことが可能になった.今後,接着性細胞の無蛋白質培養においては,接着因子の代替となる培地添加剤の検討が課題となる.
図表1 224448-1.gif
図表2 224448-2.gif
カテゴリ

こんにちは!お手伝いします。

メッセージを送信する

こんにちは!お手伝いします。

リサちゃんに問い合わせる