高圧二酸化炭素を利用した貯穀害虫の殺虫技術

タイトル 高圧二酸化炭素を利用した貯穀害虫の殺虫技術
研究期間 1997~1997
研究担当者 宗田奈保子
池長裕史
中北 宏
発行年度 1997
要約 米の貯蔵・流通の品質劣化要因となる貯穀害虫を短時間かつ安全に駆除する方法として,二酸化炭素加圧処理による殺虫技術を開発した。この処理による米の食味への影響はほとんどなく,むしろ玄米の精米特性が向上する。
背景・ねらい 米穀を安定的に供給することは,21世紀に向けた食料政策上の重要課題であるが,それの成立には収穫後の米の貯蔵・流通過程における害虫類による品質劣化や損耗問題を解決することが不可欠である。貯穀害虫の殺虫技術として,現在,臭化メチルやホスフィンによるくん蒸が用いられているが,いずれも環境への影響や抵抗性系統の出現等の問題をかかえており,わが国の米貯蔵では使用されていない。また,低温貯蔵法では害虫を完全には駆除できず,最近使用が開始された常圧下での二酸化炭素充填による殺虫には長期間が必要である。これらを解決するために二酸化炭素加圧法を考案し,貯穀害虫を対象にした殺虫技術と玄米への影響について検討した。
成果の内容・特徴
  1. 圧力及び暴露時間を自動制御化した二酸化炭素加圧処理装置を用いて,主要貯穀害虫種の各ステージの殺虫に要する圧力と暴露時間を検討した(図1)。どの害虫も成虫では感受性が高く,コクゾウムシの卵とコナナガシンクイムシの幼虫が最大の耐性を示した。これらの完全致死に要する圧力と時間の関係は20㎏/c㎡×60分,25㎏/c㎡×20分,30㎏/c㎡×10分であった。
     
  2. ロータリーバルブ型二酸化炭素加圧処理装置を用いることにより米の連続処理が可能で,処理玄米は発芽率低下があったが精米の諸品質の特性には影響はなく,むしろヌカ層が容易に剥離し精米特性が向上することを明らかにした(図2)。
     
  3. 高圧二酸化炭素による処理で,処理直後における米の食味は無処理との間に明確な差異はなかった。
成果の活用面・留意点
  1. 蓄積した成果に基づいて,生研機構の融資によりロータリーバルブを用いた連続処理装置が,現在民間企業で開発中である。
     
  2. 本技術はその殺虫特性から種々の穀物や香辛料,乾燥加工食品の害虫駆除技術として活用することができる。
図表1 224469-1.gif
図表2 224469-2.gif
カテゴリ 害虫 乾燥 自動制御 抵抗性 良食味

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