高二酸化炭素濃度・高温がオーチャードグラスの体内成分に及ぼす影響

タイトル 高二酸化炭素濃度・高温がオーチャードグラスの体内成分に及ぼす影響
担当機関 草地試験場
研究期間 1993~1996
研究担当者
発行年度 1994
要約 高二酸化炭素濃度(CO2)はオーチャードグラスの細胞壁物質(CW)の割合を高め、窒素含量・ミネラル含量を低下させ、また、高温もCWを高め、飼料価値を低下させることが明らかとなった。その効果は、CO2の方が大きかった。
キーワード 高二酸化炭素濃度(CO2)、オーチャードグラス、細胞壁物質(CW)、窒素含量・ミネラル含量、高温、飼料価値
背景・ねらい CO2濃度・気温の上昇等の地球環境変化が予測されており、牧草・草地に及ぼす影響の解明が待たれている。C3植物の場合、ある程度の乾物重の増大が期待されているが、家畜の飼料としての栄養価についてはほとんど未解明である。ここでは、高CO2濃度・高温が牧草の体内成分に与える影響について明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 現有大気の350ppm(pCO2)と700ppm(2×CO2)にコントロールしたガラス室で、ポット(1/5000a)でオーチャードグラスを育成した。生育温度は20、25、30℃(夜間温度はそれぞれ5℃低下させた)で、それぞれ3~4か月にわたり長期の育成を図り、再生間隔:30~40日ごとにサンプリングを行い、乾燥後に体内成分分析を行った。施肥量は、元肥としてポット当たり、炭酸カルシウム50g、熔性リン肥50g、過燐酸石灰30g、化成肥料(N17-P20517-K2O17)10gを施し、さらに刈取り(30~40日)ごとに化成肥料5gを追肥した。
  2. 高CO2濃度下では、CW及び低消化性有機物(Ob)が増大し、灰分(ASH)が減少した(図1)。これに温度上昇を加味すると―特に20℃から25℃へ―CWの増大が著しかった。
  3. 体内元素分析では、全試験(350ppm群では9回、700ppm群では13回)を通した平均値では、700ppm区が葉身、茎とも、茎中のPを除いて、N、P、K、Ca、Mgとも減少の傾向にあった(表1)。特に、Mgの低下が著しかった。温度の上昇による影響は、鮮明ではなかった。
以上より、高CO2濃度によりCW及びObが増大し、N、P、K、Ca、Mg―特にMgが減少し、また、高温により、CWが一層増大した。従って、高CO2濃度・高温下では、飼料価値の低下が予測される。
成果の活用面・留意点
  1. 到来しつつある地球温暖化(高CO2濃度・高温)におけるオーチャードグラスの栄養評価の予見・モデル化に活用できる。
図表1 224715-1.gif
図表2 224715-2.gif
図表3 224715-3.png
図表4 224715-4.png
カテゴリ 肥料 乾燥 施肥

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