行動から推定した黒毛和種新生子牛が人間を認知する時期

タイトル 行動から推定した黒毛和種新生子牛が人間を認知する時期
担当機関 四国農業試験場
研究期間 1994~1995
研究担当者
発行年度 1994
要約 出生直後に黒毛和種子牛が人間と同居(非接触的)した時間とその後のハンドリング時の牛の落ち着き度との関係と、刷り込み様現象が見られた子牛の行動から推定すると、牛は生後2~3日目に人間の存在を活発に認知する。
背景・ねらい 家畜への日常的な接触を必要としない周年放牧などの飼養体系は、労働時間を短縮し、低コストでの肉用牛生産を可能とするが、その反面、ハンドリングを伴う管理作業時には、人間に慣れていない牛が過激な逃避行動や人間への攻撃行動を示すなどの問題も生じる。そこで、新生子牛に人間が接触した場合の行動的な所見から、牛と人間との関係が成立する時期を推定し、放牧牛の行動制御技術を開発するための基礎的知見とする。
成果の内容・特徴
  1. 黒毛和種において、生後3日間に人間との非接触的な同居時間(人間が側にいた時間)が20時間以上では、3カ月齢における突発的なハンドリング時に62%の個体が高い落ち着き度(8以上)を示した。一方、同居時間が20時間未満では、落ち着き度の高い個体はなく、逆に激しい攻撃性を示しハンドリングが不可能な個体が見られた(図1)。
  2. 特に、出生後2日目および3日目における人間との同居時間と、3カ月齢におけるハンドリング時の落ち着き度との間には強い相関関係(スピアマン順位相関)が認められた(表1)。
  3. 出生直後に人間への刷り込み様現象が見られた牛に対して、その後7日間1日1回の誘導(牽引)を行うと、1日目は人間への追随に終始したが、2日目および3日目には突出して周辺環境に対する探索行動が増加し平均歩行速度が低下した。4日目以降は探索行動の減少に伴って平均歩行速度も上がった(図2)。
  4. 以上の行動的な所見から、子牛は特に生後2~3日目に周辺環境に対して活発な探索行動を行い、この間に人間の存在を認知すると推定される。また、人間を認知した牛はその後の管理作業においても人間に対する極端な恐れを示さないと考えられる。
成果の活用面・留意点
  1. 子牛への早期訓練を利用した放牧牛の行動制御技術開発のための基礎資料として活用できる。
  2. 黒毛和種以外の牛品種については未検討であるので、確認試験を必要とする。
図表1 224721-1.gif
図表2 224721-2.gif
図表3 224721-3.gif
カテゴリ あま 低コスト 肉牛 品種

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