タイトル |
ナナホシテントウの放虫によるアルファルファのアブラムシ防除 |
担当機関 |
草地試験場 |
研究期間 |
1991~1995 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1995 |
要約 |
捕食性天敵ナナホシテントウを大量増殖し、早春に野外へ放虫することによりアルファルファ圃場のアブラムシの密度を低下させることができる。また圃場周辺のススキの群落はナナホシテントウ成虫の越冬・越夏場所として好適である。
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背景・ねらい |
アルファルファに発生するアブラムシは、吸汁やウイルス病の伝搬等を通して収量・品質に大きな被害を与えており、わが国のアルファルファ栽培を制限する要因のひとつとなっている。そこで環境に優しい防除法として捕食性天敵のナナホシテントウを用いたアブラムシの制御技術の開発を研究のねらいとした。
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成果の内容・特徴 |
- ナナホシテントウの野外への放虫ステージは、2~4齢幼虫が適している。放虫は3月中(最高気温10℃前後)から行い、アルファルファ生育初期におけるアブラムシの密度を低く抑えることが、アブラムシの被害を抑制するために望ましい。放虫密度は高いほど効果が高い(図1、図2)。
- ナナホシテントウの大量増殖法:ナナホシテントウの餌として、20~25℃の恒温室で栽培した芽出しの一寸ソラマメに1個体のエンドウヒゲナガアブラムシ成虫を接種し、増殖させる。接種後約2週間でバイオマスが最大となり、ナナホシテントウ成虫に給餌すると、1茎に生息するアブラムシで平均61.4個の卵を得ることができる。越冬雌成虫は5~10℃で保存が可能で、卵が必要なときには20~25℃で餌を与えて飼育する。なお、飼育温度が25℃のときに、餌アブラムシ当たり最も多い産卵数を得られる。幼虫は5~10℃の温度で約10日間は保存が可能である。
- ナナホシテントウは成虫で越冬・越夏するが、アルファルファ圃場ではほとんど越冬・越夏しない。しかし、成虫は圃場周辺のススキでよく越冬・越夏しており、ススキは成虫を定着させる目的で圃場周辺に栽培したオーチャードグラスやイタリアンライグラスよりも越冬・越夏場所としてすぐれている(図3)。
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成果の活用面・留意点 |
- 新播時など自然に発生する天敵類が少ない圃場ではナナホシテントウを大量に放虫することにより、アブラムシの密度を低下させることができる。
- 圃場周辺のススキの群落はナナホシテントウの越冬・越夏場所に適しており、越冬・越夏時の刈取りなどによる撹乱はひかえる。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
病害虫
アルファルファ
イタリアンライグラス
防除
未成熟そらまめ
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