天井クレーン型堆肥自動切返し装置及び戻し堆肥利用を特徴とする堆肥化施設の性能

タイトル 天井クレーン型堆肥自動切返し装置及び戻し堆肥利用を特徴とする堆肥化施設の性能
担当機関 環境部
研究期間 1995~1995
研究担当者
発行年度 1995
要約 表記堆肥化施設では天井クレーン型堆肥切返し装置が自動で切返し作業を行い、約50日間の発酵で有機物分解が進んだ堆肥ができる。敷料、水分調節材として堆肥の循環利用が図られ、一部は圃場へ還元される。
背景・ねらい 家畜排泄物の適切な処理・利用が求められ、畜産農家経営で利用しうる、良質、少労力、低コスト堆肥化技術が望まれるなか、表記施設が酪農家(成牛約90頭)に導入された。この施設は天井クレーン型堆肥切返し装置(サイロクレーンを原型に改造されたもの。以下堆肥クレーンと仮称)による作業の自動化と堆肥の敷料・水分調節材としての循環利用を特徴としている。そこで、本施設における堆肥化の状況について調査し、性能を把握する。
成果の内容・特徴
  1. 施設・装置は表1および図1に示すとおりで、材料の流れは以下のようである。牛舎通路にはふん尿と牛床から牛により掻出された敷料(戻し堆肥)がたまる。通路に撒いた戻し堆肥および水分調節材とともにこれらをローダで水分調整エリアに押出し、3~4日分を薄く広げて乾燥を促進後、堆肥クレーンでエリア1に搬送する。約1週間分の材料を1単位(40~50t)として、同じように天地返しにして順次エリア間を搬送し、エリア7で終了する。必要量の堆肥を敷料、水分調節材として牛舎に戻す。
  2. 堆肥クレーンは1回に200~600kgの堆肥を掴み移動させる。運行は自動で、40t程度の量の切返しには120~130回の掴み移動で、約4時間を要した。堆肥クレーンのフォーク形グラブには破損・変形が発生するので、補強が必要である。
  3. 本施設の電力使用は送風機と堆肥クレーンによるもので、その量は1日約89kWhであった。このうちの95%程度は送風機によるもので、堆肥クレーンでの使用は1日約4kWhであった。
  4. 発酵中の最高温度は夏期、冬期とも70℃を越えたが、温度上昇しない位置もあった。
  5. 夏期調査では、発酵槽に投入された約6日分の堆肥化材料はふん尿30.6t、水分調節材4.9t、戻し堆肥9.6tの合計46.1tであり、エリア7への切返し時にはこれが17.2tに減少した(図2)。
    なお、1週間分の堆肥化材料を投入するには各エリアの槽容積が不足している。
  6. 堆肥の含水率は経日的に低下したが、発酵終了時には60%程度であった。発酵による含水率低下は少ない(図2)。
  7. 夏期調査では、pHの推移は4~5週目に9.3のピークに達し、その後低下した。無機態窒素の推移では経日的にアンモニア態窒素の低下と硝酸態窒素の上昇が認められる。また、有機物分解率は7週目で約55%であることから、腐熟は順調に進行していると判断される(図2、3)。
  8. 大腸菌は発酵槽投入後1週間以内に検出限界(102CFU/g)以下となった。大腸菌が戻し堆肥に残存し、牛の健康に影響を及ぼすことはないと考えられる。
    写真.堆肥クレーン
成果の活用面・留意点
  1. 堆肥化施設選定にあたっての参考資料となる。
  2. 調査は栃木県北部の施設で実施した。
    堆肥クレーンには攪拌・混合作用がほとんどないので、発酵槽投入前にふん尿と水分調節材とをよく混合しておく。また、含水率は70~65%以下にしておくことが望ましい。長期間の使用に関わる施設・装置の耐久性、堆肥成分(ドレインからの排出液を含む)の変化については未検討である。
図表1 224772-1.jpg
図表2 224772-2.jpg
図表3 224772-3.jpg
図表4 224772-4.jpg
図表5 224772-5.jpg
カテゴリ 肥料 乾燥 経営管理 低コスト 乳牛

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