胚移植による交雑種雌牛(黒毛和種×ホルスタイン種)からの双子生産

タイトル 胚移植による交雑種雌牛(黒毛和種×ホルスタイン種)からの双子生産
担当機関 草地試験場
研究期間 1995~1997
研究担当者
発行年度 1995
要約 交雑種雌牛(黒毛和種×ホルスタイン種)を受胚牛とした双子生産では、分娩時の子牛事故率が25%と高くなったが、自然哺乳・放牧飼養下でもほぼ順調な繁殖機能回復と双子産子の良好な発育が得られ、効率的な肉用子牛生産が可能である。
背景・ねらい 胚移植を利用した双子生産は高品質肉用子牛の低コスト生産と効率的な増殖を推進する技術として大きな期待が寄せられているが、流産や分娩時での事故が比較的多く、また双子分娩後の繁殖機能回復や双子の発育等の成績についてもまだ十分蓄積されていない。一方、国内に20数万頭飼養されている交雑種(黒毛和種×ホルスタイン種、F1 )では、優れた泌乳性と繁殖性を持つ雌牛も大部分が直接肥育に回されており、その繁殖利用が望まれる。そこで、F1雌牛を双子生産のための受胚牛として用いた5年間の成績をまとめた。
成果の内容・特徴
    1991~1995年の5年間に、草地試験場において両側子宮角移植及び人工授精後の追い移植によって双子妊娠(三子妊娠3頭を含む)したF1雌牛28頭(平均5.8産次)の分娩成績、分娩後の繁殖機能、双子の発育を、単子分娩したF1雌牛60頭(平均5.5産次)の成績と比較した。分娩前後の飼養は粗飼料給与(夏期:放牧、冬期:野外でのグラスサイレ-ジ群飼)を基本とし、子牛は6カ月齢まで自然哺乳・別飼濃厚飼料無給与で哺育した。
  1. 双子分娩牛の妊娠期間は平均279.9日で、 単子分娩牛より8日短く、助産を要した牛及び後産停滞牛の割合はそれぞれ25%、21%であり、単子分娩牛の2%、0%に比較して高かった(表1)。また双子分娩時に1子あるいは双子が死亡したケ-スは25%に上った (図1)。
  2. 双子分娩・双子哺育牛の分娩後初回排卵及び初回発情日数は平均48.8日、65.3日で、単子分娩・単子哺育牛よりそれぞれ13日、18日長くなったが、分娩後受胎日数及び受胎に要した移植(授精)回数は両者の間で違いはみられなかった(表2)。
  3. 双子産子の生時体重は平均28.6kgで、単子より6kg小さく、90日齢体重及び生時~90日齢間の日増体量でも双子は単子に比べて劣ったが、 90~180日齢間の日増体量には有 意差は認められなくなり、 双子産子は生時~180日齢間の日増体量で雄0.79kg、雌0.78kgの良好な発育を示した(表3)。
成果の活用面・留意点
  1. F1雌牛を活用した胚移植による双子生産を推進するうえで、有効な知見になる。
  2. 双子分娩時の子牛事故を少なくするために、分娩予定約10日前から分娩看視を行う必要がある。
図表1 224778-1.jpg
図表2 224778-2.jpg
図表3 224778-3.jpg
図表4 224778-4.jpg
カテゴリ 低コスト 繁殖性改善

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