稲ホールクロップサイレージの発酵特性

タイトル 稲ホールクロップサイレージの発酵特性
担当機関 草地試験場
研究期間 1996~1996
研究担当者 永西 修
四十万谷吉郎(現
中国農業試験場
発行年度 1996
要約 稲ホールクロップサイレージの発酵特性は、pHの低下や乳酸の生成は緩やかで、酪酸の生成は調製後4日目頃から始まる。しかし、総窒素に占める揮発塩基態窒素の割合やエタノールの含有率は調製後7~14日目までの間に急激に高まる。
背景・ねらい  稲ホールクロップサイレージは乳酸含量が少なく、酢酸や酪酸量は多いことが知られているものの、その調製期間中のpH、有機酸、揮発性塩基態窒素、エタノール含有率の動態に関する知見は乏しい。そこで、品種と生育ステージが異なる多収の稲を用いて稲ホールクロップサイレージを調製し、発酵特性を解析した。
成果の内容・特徴
     北陸153号、北陸147号をそれぞれ糊熟期、黄熟期に刈取り後、2~3cmの長さに切断し、3のポリ容器に詰込み、1、4、7、14、28および56日目に開封してpH、有機酸、揮発性塩基態窒素およびエタノール含有率を調べた。なお、用いた稲の乾物率、穂部割合および可溶性炭水化物含有率(乾物%)は順に北陸153号糊熟期(38.5%、43.7%、11.4%)、黄熟期(36.4%、57.3%、16.3%)、北陸147号糊熟期(33.3%、37.4%、9.6%)、黄熟期(32.6%、47.3%、11.2%)であった。
  1. 北陸147号で調製したサイレージのpHは北陸153号で調製のそれと比較し、低く推移したが、いずれも緩やかに低下した(図1)。
  2. 北陸153号で調製したサイレージの乳酸含量は極端に少なく、調製後56日後は0.06%であった。また、北陸147号のそれはやや高く、0.6%程度であった(図2)。
  3. 酢酸の生成は調製後1日目から、また、酪酸の生成は調製後4日目から開始される(図3)、(図4)。
  4. 総窒素に占める揮発性塩基態窒素の割合は調製後14日目までに急激に高まり、その後は緩やかに推移した(図5)。
  5. エタノール含量は調製後7日目までに急激に高まったが、その後は減少した(図6)。
  6. 以上のことから、稲ホールクロップサイレージの発酵特性は、一般にトウモロコ シなどで認められるそれと比べて緩慢な様相を示すことが明らかとなった。また、系統や生育ステージによる発酵特性の違いは材料稲の乾物率、穂部割合、可溶性炭水化物含量などの差による可能性が考えられる。
成果の活用面・留意点
  1. 稲ホールクロップサイレージの発酵特性が明らかとなり、高品質のサイレージを調製する上での基礎資料となる。
  2. 北陸147号、北陸153号とも黄熟期の刈取りは降雨の翌日であった。
図表1 224803-1.jpg
図表2 224803-2.jpg
図表3 224803-3.jpg
図表4 224803-4.jpg
図表5 224803-5.jpg
図表6 224803-6.jpg
カテゴリ とうもろこし 品種

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