サイレージ用ソルガム新品種「葉月」

タイトル サイレージ用ソルガム新品種「葉月」
担当機関 長野県畜産試験場
研究期間 1997~1997
研究担当者 荻原英雄
我有満
海内裕和
春日重光
発行年度 1997
要約 高消化性遺伝子&bmr&を導入したソルガムF1品種「葉月」(旧系統名「東山交21号」)を育成した。本品種は、茎葉部の消化性、耐倒伏性に優れ、密植栽培によるロールベールサイレージ利用も可能である。寒冷地域南部から中部地域の標高1000m以下の地域および温暖地・暖地での高品質サイレージ用品種として普及が期待される。
背景・ねらい
     ソルガムは遺伝的な変異が大きく、優れた乾物生産性、環境適応性、再生力などの特性を持つ。しかし、同じ長大型飼料作物のとうもろこしと比較して、茎葉部の消化性、サイレージの発酵品質、家畜の嗜好性などに劣ることが問題とされてきた。そこで、茎葉部のリグニン形成を抑制する高消化性遺伝子&bmr&を導入することによって、茎葉部の消化性や家畜の嗜好性に優れたF1品種を育成しようとした。
成果の内容・特徴 「東山交21号」は、「那系MS-3A(ソルガム中間母本農3号)」を種子親とし、「JN43」を花粉親として育成された単交雑一代雑種で、構造性物質(繊維)の消化性向上によって茎葉部の消化性を改良した兼用型ソルガムである。
    1.出穂期は「スズホ」並の&早生&に属する。
    2.平均乾物収量は「スズホ」対比87%、乾物穂重割合は「スズホ」より6%低いが、流通しているホールクロップサイレージ用品種の中では「中」程度の収量性を示す。
    3.耐倒伏性は、「スズホ」、「P956」より強く、特に4000本/a以上の密度で優れた耐倒伏性を示す。
    4.原料草の茎葉の消化性は、「スズホ」に比べ、酵素分解率では糊熟期に3.8%高く、ナイロンバッグ法による第1胃内乾物消失率では開花期および糊熟期にそれぞれ15.1%および12.7%高い(図1)。
    5.ホールクロップサイレージは、消化性および嗜好性ともに「スズホ」に比べて優れ、発酵品質も良好である。また、開花期、糊熟期ともにスーダングラスに準じたロールベールサイレージ利用が可能である。
    6.すす紋病抵抗性は「中」で「スズホ」より弱く、紋枯病抵抗性は「スズホ」並の「中」で、紫斑点病および条斑細菌病抵抗性は「スズホ」より弱い。しかし、いずれの病害にもほぼ実用レベルの抵抗性を備えている。
    7.アブラムシ抵抗性は「スズホ」より弱いが、「P956」並である。アワノメイガ抵抗性および鳥害抵抗性は「スズホ」および「P956」並である。
    8.初期生育は「スズホ」よりやや劣るが、「P956」よりやや優れる。稈長は「スズホ」と「P956」の中間で、稈径は「スズホ」よりやや細く、「P956」並である。
    9.F1種子精選種子重は23.5kg/aでスズホ並がやや優れる。
     ※ 参照表1(①~③、⑤~⑨)
成果の活用面・留意点
    1.寒冷地域南部から中部地域の標高1000m以下の地域および温暖地・暖地を栽培可能地域とする。普及見込み面積は1,500ha(ソルガムの全栽培面積の5%)である。
    2.平均気温15℃以上の範囲で早播きし、栽植密度はアール当たり2000~5000本程度とする。また、ロールベールサイレージ利用の場合は開花期の利用も可能なため、アール当たり10000本を越える密植栽培も可能である。
    3.麦角病の多発地帯での利用は開花期までとし、すす紋病多発地帯での栽培は避ける。

図表1 224826-1.JPG
図表2 224826-2.JPG
カテゴリ あわ 飼料作物 新品種 ソルガム 鳥害 抵抗性 とうもろこし 品種

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