タイトル |
外来雑草イチビの遺伝的多様性 |
担当機関 |
草地試験場 |
研究期間 |
1997~1997 |
研究担当者 |
黒川俊二
小松敏憲
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発行年度 |
1997 |
要約 |
イチビの遺伝的多様性についてDNA・形質レベルで解析した結果、大きく二つのグループに分かれた。輸入濃厚飼料に混入していたものは、早生で開花期間が長く種子生産量の多いグループに属し、その中でも際だった繁殖力を有するグループを形成した。
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背景・ねらい |
特別研究「強害雑草」において、各国からの輸入飼料に混入して、多くの種類の外来雑草が日本国内に侵入していることが判明した。その中でも、イチビは全国的に急速に拡散しており、それに適した生態遺伝的特性を持っていると考えられる。そこで、この研究では、侵入時のイチビを含め、世界各国産のエコタイプについて遺伝的な多様性を解明する。
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成果の内容・特徴 |
- イチビの遺伝的変異を見るために、輸入濃厚飼料に混入していた系統及びUSDAより入手した世界各国の系統について、ISSR ( Inter-Simple Sequence Repeat )法による多型解析を行い、そのバンドデータを用いてクラスター分析を行った。その結果、大きく二つのクラスターに分かれることが判明した(図1)。
- 圃場生育中のイチビの18形質を調査し、それらのデータをもとに主成分分析を行った。その結果、連続的な変異を示すことが判明した(図2)。便宜上、第一主成分の正負によって二つのグループに分けたところ、 DNA 解析によるグルーピングとほぼ一致する(図1)、(図2)。
- 濃厚飼料混入系統は、日本の在来系統と異なるグループに入り、その中でも特に、種子生産量が際だって多く、草高は低いが、枝数が多く早生で開花期間が長いなど、繁殖力に優れた特性を示すグループを形成する(図1)、(図2)、(表1)。
- 近年、輸入濃厚飼料に混入して侵入しているイチビは、日本の在来系統とは遺伝的に離れたものであり、際だった繁殖力を有する特定の遺伝子型のものであることが示唆される。
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成果の活用面・留意点 |
- 外来雑草種の遺伝的特性についての基礎的知見の一つとなる。
- 輸入濃厚飼料に混入し侵入しているイチビは特に強い繁殖力を示すことから、早急に防除対策を立てることが必要である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
病害虫
雑草
繁殖性改善
防除
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