タイトル |
播種期幅が広く、早播きで多収なサイレージ用ソルガム新品種「東山交20号」 |
担当機関 |
長野県畜産試験場 |
研究期間 |
1998~1998 |
研究担当者 |
荻原英雄
我有満
海内裕和
春日重光
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発行年度 |
1998 |
要約 |
ソルガムF1品種「東山交20号」は、初期生育に優れ、早播~標準栽培で多収を示す極早生品種である。晩播に伴って出穂期まで日数が短縮する特性を持つため、播種期幅が広い。寒冷地等のソルガム栽培の限界地域や多様化する作付け体系の中で利点を発揮することが期待される。
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背景・ねらい |
ソルガムは、その優れた乾物生産性や環境適応性などの特性から、サイレージ用の品種は多数流通しているが、その多くは中生~晩生品種で、極早生種は極めて少ない。そのため、寒冷地等では、限られた短い生育期間でサイレージ原料を確保するには難点が多い。このため、初期生育に優れる播種期幅の広い極早生のホールクロップサイレージ用品種を育成しようとした。
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成果の内容・特徴 |
「東山交20号」は、「(954149)A」を種子親とし、高粱系統「SDS7444」を花粉親として育成された単交雑一代雑種である。
- 「東山交20号」は、「ナツイブキ」並の"極早生"に属する兼用型ソルガムで(表1)、晩播に伴って出穂期まで日数が短縮する特性を持つ。そのため、晩播栽培においては「ナツイブキ」より10日程度早生で(図1)、糊熟期到達で見た播種期幅は「ナツイブキ」より2週間程度長い。
- 初期生育は「ナツイブキ」並かやや優れ、市販のサイレージ用ソルガムの中では最も優れている(表1,図3)。
- 乾物収量は、「ナツイブキ」比106%、「スズホ」比105%である(表1)。
- 播種時期別の乾物収量は、「ナツイブキ」に比べ早播~標準播で多収を示し、晩播で劣る。また、播種時期による乾物収量の変動は「ナツイブキ」より小さい(図2)。
- 乾物穂重割合は「スズホ」より9%、「ナツイブキ」より2%程度低いが、晩播による乾物穂重割合の低下は「ナツイブキ」より小さい(表1)。乾物率は「ナツイブキ」並である(表1)。
- 稈長は「ナツイブキ」より高く、穂長は「ナツイブキ」並~やや長い。稈径は「ナツイブキ」並である(表1)。
- 耐倒伏性は、「ナツイブキ」並である(表1)。
- すす紋病抵抗性および紋枯病抵抗性の判定はともに「中」である(表1)。紫斑点病抵抗性は、「ナツイブキ」よりやや弱く、条斑細菌病抵抗性は「ナツイブキ」並である(表1)。
- 原料草の消化性は「ナツイブキ」並である(表1)。
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成果の活用面・留意点 |
- 寒冷地域南部および中部地域の標高1000m以下の地域から温暖地・暖地まで栽培可能地域とするが、特に寒冷地域南部および中部地域の標高1000m以下の地域は早播~標準播用として適地である。
- 生態型を異にする極早生品種「ナツイブキ」との使い分けでは、「東山交20号」は早播用、「ナツイブキ」は晩播用として利点がある。
- 収量性および耐倒伏性の点から、栽植密度は1600本/a程度とし、播種量は60~70g/aとする。
- 晩播すると、出穂期まで日数が短くなり、収量は漸減する。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
新品種
ソルガム
抵抗性
播種
品種
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