高消化性遺伝子"bmr-18"および"bm"によるソルガム茎葉部の消化性改良効果

タイトル 高消化性遺伝子"bmr-18"および"bm"によるソルガム茎葉部の消化性改良効果
担当機関 長野県畜産試験場
研究期間 1996~1998
研究担当者 春日重光
渡辺晴彦
海内裕和
発行年度 1998
要約 近赤外分光分析法を用い、高消化性遺伝子"bmr-18"および"bm"のソルガム茎葉部の消化性改良効果について、異なる素材で導入効果を検討した結果、bmr-18遺伝子はいずれの素材でも、主に構造性物質の消化性の向上による改良効果が認められるが、bm遺伝子の消化性改良効果は認められない。
背景・ねらい 粗飼料の高品質化に対する要求が強まる中で、ソルガムは耐干・耐湿性や乾物生産性等にメリットが多いものの、栄養価や嗜好性は低いため、消化性の育種的改良の意義は大きい。この消化性の改良を効率的に進めるためには、圃場でも識別可能な高消化性遺伝子(bmr,bm等)は大変有用である。しかし、これら高消化性遺伝子の効果について、それを導入する素材の違いが消化性の改良効果に及ぼす影響を検討した例は少ない。そこで、"bmr-18"および"bm"遺伝子を異なる育種素材に導入した時の茎葉部の消化性の改良効果について検討した。
成果の内容・特徴
  1. 材料は、高消化性遺伝子"bmr-18"および"bm"を保有する自殖系統「那系R-1」(ソルガム中間母本農5号, H3.草地試験場)を種子親として、短稈・子実型・汁性の「Tx430」、短稈・細茎・汁性の「Dual」、長稈・強稈・乾性の「ホウキモロコシ」および長稈・乾性の日本在来種「タカキビ」の4系統を各々花粉親として交配した4組合せのF2集団と親系統である。
  2. 消化性の評価は、成熟期に達した個体の茎葉部を乾燥・粉砕して供試した。消化性関連形質の測定は近赤外分光分析法によって行い、用いた検量線の推定精度は表2の通りである。
  3. 親系統の乾物消失率(DMD)の変異は79.9%(「那系R-1」)~66.1%(「タカキビ」)と幅広い(表1)。
  4. 4組合せのF2集団とも、"bmr-18"を導入した個体の乾物消失率は、"bm"遺伝子導入個体および高消化性遺伝子を持たない個体(Normal)に比べ4~6%程度高く、中間親並~4%程度高い値を示す(表1),図1)。
  5. 構造性物質の消失率(SMd)では、"bmr-18"導入個体は、Normal個体より9~14%高く、中間親より2~6%程度高い値を示す(表1)。
  6. 4組合せのF2集団とも、"bmr-18"導入個体の稈長、乾物穂重割合は、Normal、"bm"導入個体よりやや低い値を示したが、"bmr-18"の導入による著しい弱勢化は認められない。
  7. F2集団において、高消化性遺伝子"bmr-18"は、導入する素材によって変異はあるものの、いずれの素材でも構造性物質の消化性の向上による、茎葉部の消化性改良効果が認められるが、"bm"遺伝子の消化性改良効果は、いずれの組合せでも認められない。
成果の活用面・留意点
  1. "bmr-18"遺伝子によるソルガム茎葉部の消化性改良効果は、比較的大きな変異を持つ素材に おいても利用できる。
  2. F2世代における"bmr-18"の導入効果は、交配組合せおよび個体間で異なる。
図表1 224901-1.JPG
図表2 224901-2.JPG
図表3 224901-3.JPG
カテゴリ 育種 かき 乾燥 ソルガム 耐湿性

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