スラリー施用下における土壌溶液中硝酸態窒素濃度の推移とソルガム栽培との関係

タイトル スラリー施用下における土壌溶液中硝酸態窒素濃度の推移とソルガム栽培との関係
担当機関 草地試験場
研究期間 1998~1998
研究担当者 吉村義則
魚住 順
黒川俊二
発行年度 1998
要約 スラリー施用に起因する土壌溶液中の硝酸態窒素濃度の上昇は、ソルガムを作付すると生育盛期にあたる7月以降強く抑制される。また、マルチ栽培を行うと施用による濃度上昇はほとんどみられなくなる。
背景・ねらい 乳用牛飼養農家から排出されるスラリーは、飼料生産圃場への施用限界を越えつつあり、過剰施用や無作付地への投入が恒常化している。このことは、環境保全上大きな問題であり、特に地下水への硝酸汚染が懸念されている。そこで、栽培面からの汚染低減化技術の策定に資するため、地下浸透硝酸の一指標である土壌溶液の硝酸態窒素をとりあげ、その濃度の推移に及ぼすスラリー施用、ソルガムの作付およびマルチ展張の影響を調査した。
成果の内容・特徴
    導入作付体系は図1の体系とし、これにスラリー施用の有無とマルチ展張の有無を組み合わせた4処理を施した。また、比較対照として無作付地を設けた。スラリー(窒素濃度約0.5%)は、インジェクタ(施用幅150cm)を用い、1作当たり10t/10a(窒素換算で約50kg/10a)を施用した。土壌溶液は、施用条の15cm脇、地下70cmから採取した。
  1. スラリー施用による硝酸態窒素濃度の上昇の程度は年次により異なり、これは降水量の年次間差と密接に連動した(図1、2)。
  2. 夏作にソルガムを作付すると生育盛期にあたる7月以降は、濃度の上昇が強く抑制されたが、初期生育時には抑制作用はみられなかった(図3)。
  3. マルチ栽培すると、初期生育時の濃度の上昇も強く抑制された(図4)。
  4. 以上の結果より、地下水汚染低減化には、初期生育時の窒素吸収量の増大に向けた作付方式(導入草種・品種、栽植様式等)の確立が有効と考えられる。また、マルチ栽培も、汚染低減化技術開発の研究素材として活用しうるものと思われる。
成果の活用面・留意点
  1. 地下水汚染低減化に有効な作付方式を策定する際の基礎的知見となる。
  2. 本試験では、スラリー施用条近くの土壌溶液を採取しているため、硝酸態窒素濃度は圃場全体の代表値よりも高い。また、硝酸態窒素濃度は土壌の種類や降水量により変化するうえ、土壌溶液の硝酸がそのまま地下水に移行する訳ではないので、示した濃度を飼料畑における普遍値としたり、地下水の濃度と同一視したりしないこと。
図表1 224905-1.JPG
図表2 224905-2.JPG
図表3 224905-3.JPG
図表4 224905-4.JPG
カテゴリ ソルガム 品種

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