タイトル |
近赤外分光法による無粉砕牧乾草の飼料成分分析 |
担当機関 |
畜産試験場 |
研究期間 |
1998~1998 |
研究担当者 |
甘利雅拡
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発行年度 |
1998 |
要約 |
近赤外分光法により 牧乾草の飼料成分を無粉砕試料でより簡易に従来の精度と同等に推定できる。
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背景・ねらい |
近赤外分光法(NIRS)は、フォーレージテストの主要な分析法として広く用いられている。NIRSによる粗飼料成分の推定では、試料を 0.5mmメッシュを通過させた粒度に粉砕して供するのが常法となっているが、粉砕のための労力および時間は、NIRS分析のかなりの割合を占める。そこで牧乾草について、より簡易にNIRS分析するため、従来の微粉砕試料を用いずに無粉砕試料による測定法を開発する。
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成果の内容・特徴 |
- 近赤外スペクトルの測定
無粉砕試料の近赤外スペクトルは、近赤外分析計 NIRSystems 6500型を用い、1100nm~2500nmの範囲について、高水分測定用セルにより反射スペクトルを測定した。スペクトルは1試料について詰め替えをして、5反復までのスペクトルを平均化してNIRSに供試した結果、5反復の平均化スペクトルを用いたものが最も高い精度を示した(表1)。このことから無粉砕試料によるNIRS分析では、5反復スペクトルの平均化スペクトルを用いる。
- 無粉砕試料による飼料成分の推定精度
牧乾草49点(国内産乾草30点、輸入乾草19点、うちペレット、キューブを含む)を供試して、検量線を作成(31点)し、その検量線を用いて分析精度を検定(18点)した。分析項目は、水分、粗タンパク質、粗灰分、酵素分析法による総繊維(OCW)、細胞内容物(OCC)およびデタージェント法による中性デタージェント繊維(NDF)、酸性デタージェント繊維(ADF)、酸性デタージェントリグニン(ADL)であった。 分析精度は、粗タンパク質、OCW、OCC、NDFでは化学分析値と近赤外推定値とのrおよびSEPは、r=0.94~0.97、SEP=1.61~2.97、RPD=3.01~4.99の範囲にあった(表2)。これら成分では、従来の微粉砕試料によるものと同等の精度で分析が可能である。
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成果の活用面・留意点 |
- 5回反復のスペクトルを測定するが、試料の粉砕作業が不要になり、労力および時間が半減化され、フォーレージテストにおける省力化が期待できる。
- 検量線は新規に作成する必要がある。
- キューブ、ペレット状の飼料にも対応が可能である。
- 長物は5cm程度にカットし、セルへの充填は試料を隙間無くできるだけ均一に行う。(図1)
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
近赤外分析
省力化
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