タイトル |
水分含量の異なるサイレージを給与した乳牛の窒素の利用性と乳蛋白質生産の比較 |
担当機関 |
草地試験場 |
研究期間 |
1998~1998 |
研究担当者 |
安藤 貞
西田武弘
石田元彦
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発行年度 |
1998 |
要約 |
水分の低いイタリアンライグラスロールベールサイレージを給与する方が,乳牛の小腸で吸収される第一胃微生物蛋白質とサイレージ由来の非分解性蛋白質の量が多く,乳蛋白質生産量が高い。
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背景・ねらい |
ロールベールサイレージの品質は材料草の種類,刈り取り番草,水分含量等により変化する。しかし,品質の違いが搾乳牛の養分摂取量と乳生産にどのような影響を及ぼすのかを検討した例は少ない。そこで,水分含量の異なるイタリアンライグラスのロールベールサイレージを給与した乳牛による養分摂取量の違いを調べ,乳生産との関係を解明する。
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成果の内容・特徴 |
- 低水分サイレージの方がpH値が高く,乳酸などの有機酸含量が低い(表1)。
- 乳牛のサイレージの摂取量は水分含量の影響を受けない。飼料全体からの粗蛋白質と可消化養分総量の摂取量は変わらないが,低水分サイレージ給与乳牛の方が中水分サイレージ給与牛よりも,乳蛋白質生産量が高く,摂取窒素(蛋白質)が牛乳生産に向けられる割合が高い(表2)。
- AFRC(1993年)の方法で推定した第一胃微生物蛋白質合成量は有機酸含量が高い中水分サイレージの方が少ない(表3)。
- 小腸へ移行するサイレージ粗蛋白質は低水分区の方が少ない。しかし,小腸への移行粗蛋白質には第一胃にどんなに長時間滞留しても分解が不可能で,小腸でも消化できないと推察される区分がある。低水分区の方がこの消化不可能な区分が少ない低いので,小腸で消化されるサイレージの粗蛋白質は低水分区で多い(表4)。
- 以上のことから,水分の低いサイレージを給与する方が乳牛の小腸で吸収される蛋白質の量が多く,乳蛋白質生産量が多くなることがわかる。
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成果の活用面・留意点 |
- 乳蛋白質生産向上のためのロールベールサイレージ調製と飼養管理に役立つ。
- 本成果は全乾物摂取量の60から80%に相当するサイレージを摂取したサイレージ多給の飼養条件下での知見であり,濃厚飼料多給では反応が異なる可能性がある。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
イタリアンライグラス
飼育技術
乳牛
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