タイトル |
異なる採食圧を想定した刈取条件下におけるチカラシバの種子生産と栄養特性 |
担当機関 |
草地試験場 |
研究期間 |
1996~1998 |
研究担当者 |
高橋 俊
高橋繁男
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発行年度 |
1998 |
要約 |
チカラシバの種子生産は出穂以前の採食圧を想定した異なる刈取強度に対応して変動したことから、放牧によっても種子生産を制御できる可能性がある。また、出穂前のチカラシバの栄養価と生産性はシバに比べて高い。
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背景・ねらい |
チカラシバは出穂するとブラシ状の穂を持ち、ほとんど採食されなくなることや旺盛な種子繁殖力によって急激に増加するため牧草地の雑草とされる。しかし、出穂前までは放牧家畜にも採食され、生育もよいことから、放牧によって拡散を押さえつつ草資源として活用することも考えられる。そこで、放牧によってチカラシバの種子生産を制御するための採食圧の条件を検討するとともに、それらの条件下における飼料資源としての利用価値を評価する。
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成果の内容・特徴 |
チカラシバが放牧家畜によって受ける採食圧を想定し、再生期間(刈取を行う時の草丈:40cmと20cm)と刈高(10cmと 5cm)を組合せた4種類の刈取強度の異なる処理を春の萌芽後から出穂前まで行い、種子生産性ならびに収量と飼料成分を調査した。
- 1株当たりの種子生産数は、刈取によって対照区(無刈取)の43~ 8%に低下した。最も強い採食圧を想定した草丈20cmに達する毎に刈高 5cmで刈る場合に最も強く抑制され、種子生産数は89であった(表1)。
- 刈取強度を構成する2つの要因のうち、再生期間の違いは1株当たりの出穂茎数に有意な差をもたらし、一方、刈高の違いは出穂茎のサイズに関する形質である出穂茎長、穂長、1穂当たりの種子数に有意な差をもたらした(表2)。
- チカラシバの粗タンパク質、OCC、Oaの含有率はシバよりも高い値を示した。OCC、Oaから推定したTDN含有率は53~65%で、いずれの刈取処理においても全刈取回次を通して シバの値よりも高く、特に、再生期間の短い場合には高い値を示した(表3)。
- 各刈取毎のTDN生産速度(TDNg/㎡/日)は刈取期間を通じてシバの約2~6倍の値を示した(図1)。
以上のことから、放牧強度を高めることによってチカラシバ個体群の拡大を制御できることが示唆さるとともに、シバに比べ高い飼料価値と生産性を持つことが明らかにされた。
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成果の活用面・留意点 |
- チカラシバの侵入した草地を放牧により利用しつつ植生管理を行う際の基礎的知見となる。
- 刈取処理の継続がチカラシバの永続性等に及ぼす影響については今後検討する必要がある。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
病害虫
雑草
植生管理
繁殖性改善
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