濃厚飼料中に含まれる肉用牛の採食を促進する化学物質の分離

タイトル 濃厚飼料中に含まれる肉用牛の採食を促進する化学物質の分離
担当機関 中国農業試験場
研究期間
研究担当者
発行年度 1998
要約 肉用牛に対し強い採食促進作用を示す配合飼料のエーテル抽出物質を、酸性、中性と塩基性物質に分離した結果、酸性物質と中性物質が促進作用を示した。この酸性物質を液体クロマトグラフにより分離すると、一定の画分に促進物質が溶出される。
背景・ねらい 地域において入手しやすく、あまり利用されていない飼料資源を利用して肉用牛の飼養管理を行うためには、牛の採食を制御する技術を開発する必要がある。牛の採食を制御している要因の一つとして、飼料中に含まれる味物質やにおい物質が考えられる。そこで、牛の採食性の良いことが知られている濃厚飼料中から、これらの採食促進物質の分離を行なった。
成果の内容・特徴
  1. 性質の異なる有機溶媒であるジエチルエーテルとメタノールを用い、4種類の濃厚飼料から化学物質を抽出した。配合飼料の組成は、ライ麦、トウモロコシ(77%)、麦ヌカ(10%)、大豆油粕(9%)とその他(4%)からなる。この化学物質を含む抽出液を添加した乾草と無添加の乾草を、通常の給与量の半分を給与した一頭の牛の前に置き10分間自由に採食させ、採食量を測定し、化学物質の採食促進作用を検定した。牛は、黒毛和種雌牛6頭(成牛)を用い、一種類の抽出液の促進作用を調べるため、同様な試験を2回繰り返した。その結果、揮発性物質を多く含むエーテル抽出物では、配合飼料が他の単味飼料より強い促進作用を示した。難揮発性物質を多く含むメタノール抽出物では、脱脂大豆のみ促進作用を示した(図1)。
  2. 配合飼料のエーテル抽出物を、酸性、中性および塩基性の物質に分離した。分離した3種類の化学物質の促進作用については、1.と同様な方法で検定した。その結果、酸性および中性物質(配合飼料130gから分離)が牛の採食に対し促進作用を示した(図2)。
  3. 配合飼料から分離されたエーテル可溶な酸性物質を、シリカゲルかラムを用い、ペンタンとジエチルエーテルの組成が異なる4種類の(ペンタン:エーテル=100:0,90:10,75:25,0:100)溶出液により、4個の画分に分離した。1.と同様な方法で促進作用を検定した結果、ペンタン:エーテル=75:25の組成の溶出液により分離された画分(配合飼料600gから分離)が、採食促進作用を示した(図3)。
成果の活用面・留意点
  1. 肉用牛の採食を促進する化学物質の基礎的な知見として利用できる。
  2. 中性物質については、現在のところシリカゲルカラムによる分離は行っていない。
  3. エーテル抽出物の採食促進作用に、複数の物質が関与していると、2.および3.において複数の画分に促進物質が分離され、促進作用が弱くなり検出できない場合も想定できる。そこで2.および3.では、最初の配合飼料の抽出量を増やしている。
図表1 224944-1.JPG
図表2 224944-2.JPG
図表3 224944-3.JPG
カテゴリ 飼育技術 大豆 とうもろこし 肉牛 ライ麦

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