タイトル |
酪農経営におけるフリーストール方式移行期における課題 |
担当機関 |
草地試験場 |
研究期間 |
1999~1999 |
研究担当者 |
青木 壽美男
宮路 広武
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発行年度 |
1999 |
要約 |
フリーストール方式導入初期の経営安定化は、移行に備えた乳牛の確保と馴致、投資の順位付けと分散、施設費用の低減、速やかな技術修得と安定化、繁殖管理を含めた新しい乳牛飼養管理方法の早期確立である。
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背景・ねらい |
フリーストール方式を導入する酪農家が増えており、今後も多頭飼養層を中心に導入希望の経営は多い。しかし、導入した経営は必ずしも順調とは言えず、特に移行初期の混乱はその後の営農に大きな影響を与えている。そこで、投資やフリーストール移行期の飼養管理の変化を検討し、その特徴と問題点を明らかにする。
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成果の内容・特徴 |
- フリーストール方式への移行は、経産牛飼養頭数規模50頭程度の経営が100頭以上飼養への拡大を契機に行われる場合が多く、その投資額は牛舎・施設・機械等で1.8~2.5億円、成牛1頭当たりでは180~250万円になる。さらに移行前の乳牛保留頭数の少ない経営では、成牛導入に2~4千万円の資金が必要で、この全額を借入すると補助事業利用でも労賃以外の全てを償還に当てても償還年数は20年前後を要する(表1.表2)
- 繋ぎ飼養からフリーストールへの移行は、飼養管理が大きく変わり人・牛の負荷が大きい。飼養対応の変化は、乳牛へのストレス(体細胞数の増加)から、個体産乳量の低下や分娩間隔の延長に見られ(図1)、これをフリーストール開始以前の水準に回復するには数ヶ月から1年を要する。この期間を決するのは乳牛のフリーストール牛舎への適応と群飼養管理技術の熟度で、移行に伴って飼養管理技術を大幅に変更した経営ほど影響は大きく、混乱は長期化する。
- フリーストール方式では、搾乳、給餌、牛床管理等乳牛飼養の管理が個々独立して行われ、その作業は一定の単位性を持ち、その作業結合が効率に大きく影響する。また、乳牛を観察できる時間の減少(表3、図2)による個体飼養管理の弱体化に繋がりかねない特徴がある。したがって、経営に合致した群飼養管理法の早期確立が重要である。
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成果の活用面・留意点 |
- フリーストール飼養経営の乳牛飼養管理や導入予定経営の施設・機械投資、導入初 期の飼養管理技術、管理体制改善のための情報として活用できる。
- 借入金償還の試算は、償還終了まで機械施設の補修や新たな投資を全く行わない条 件での試算なので、機械・施設の修理・更新、新技術導入等の資金運用計画を考慮し て計画を立てることが重要である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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図表5 |
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カテゴリ |
経営管理
飼育技術
新技術導入
乳牛
繁殖性改善
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