ボンバードメント法によるイタリアンライグラスカルスからの形質転換体作出法

タイトル ボンバードメント法によるイタリアンライグラスカルスからの形質転換体作出法
担当機関 草地試験場
研究期間 2000~2000
研究担当者 高橋 亘(日本草地畜産種子協会)
小松敏憲
発行年度 2000
要約 胚形成カルスを、ソルビトールとマンニトールをそれぞれ0.25M添加した培地で24時間高浸透圧処理後、打ち込み距離9.5cm、打ち込み圧1100psi(77kg/cm2)で遺伝子を2回打ち込み、2段階で形質転換カルスを選抜し再分化を図ることにより、形質転換体を作出することができる。
背景・ねらい
 遺伝子組換え技術により有用遺伝子を植物に導入するためには、形質転換系の開発が前提となる。イタリアンライグラスでは、これまで懸濁培養細胞からボンバードメント法やウィスカー法による形質転換体の作出が報告されているが、懸濁培養では再分化系の開発がかなり困難であること、懸濁培養細胞を用いると培養変異が起きやすいこと等の欠点がある。今回、これらの問題点を改善するために、胚形成カルスへのボンバードメント法による遺伝子導入法の開発を行った。
成果の内容・特徴  今回開発した方法は、イタリアンライグラスの胚形成カルスを24時間高浸透圧処理後、PDS-1000/He(バイオ・ラッド)でボンバードメントを行い、ハイグロマイシン添加培地で2段階選抜し、形質転換体を作出する方法である(図1)。
  1. ソルビトールとマンニトールをそれぞれ0.25M添加した培地で24時間高浸透圧処理した場合に、Gusの一過性発現(ブルースポット)が多かった(図2)。
  2. 打ち込み圧としては、1100psi(77kg/cm2)が900psiよりも有意にGusの一過性発現が多く、1350psiよりも多い傾向がみられた(図3)。
  3. 合計800個のカルスに遺伝子導入を行った結果、31個(3.9%)のカルスから緑色植物の分化がみられた。次に、各カルスから1個体ずつ選んで31個体について導入遺伝子の有無を調査した結果、26個体と15個体でそれぞれhpt(ハイグロマイシン耐性遺伝子)とアンチセンスCAD(シンナミルアルコールデヒドロゲナーゼ)遺伝子の存在が確認された(表1)。導入遺伝子の確認はPCR法で行った。
成果の活用面・留意点
  1. イタリアンライグラスにおいて、単離遺伝子の機能解析や有用遺伝子の形質転換に活用できる。
  2. PDS-1000/He(バイオ・ラッド)以外の機種を使用する場合には、打ち込み圧と打ち込み距離等の導入条件を調整して実施する必要がある。

カテゴリ イタリアンライグラス

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