タイトル |
本州の草地飼料畑は家畜ふん尿由来の窒素が潜在的に過剰である地域が多い |
担当機関 |
草地試験場環境部土壌物質動態研究室 |
研究期間 |
2000~2000 |
研究担当者 |
近藤 煕
山本克巳
松波寿弥
森 昭憲
川内郁緒
寳示戸雅之
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発行年度 |
2000 |
要約 |
本州(北海道以外)の草地飼料畑は、面積に対して過剰な家畜飼養頭数に由来するふん尿養分により、潜在的傾向として作物吸収量に比べ窒素過剰である地域が多い。
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背景・ねらい |
これまで全耕地面積を対象とした家畜ふん尿負荷量から、わが国の畜産環境が論じられ ることが多かったが、家畜ふん尿が畜産排出物であることを考慮し対象を草地飼料作畑に 限定するという新しい視点により、状況を正確に把握した。
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成果の内容・特徴 |
- 家畜ふん尿窒素生産量を延べ耕地面積当たりでみると、数県において250kgを超える程度である(図1:平成11年度。以下すべて同年の数値)。
- ところがこれを草地飼料作畑面積当たりに換算すると、本州(北海道を除く地域の総称。以下同様)の平均値は1392kg/haとなり(図2)、豚・鶏を除いても534kg/haであり、多くの府県で250kg/haを超える(図3)。畜産農家から排出される家畜ふん尿の多くが自家利用され、他の作目に流通している割合は少ない実態からみて(表1)、上記の高い値 が環境に対する潜在的な影響を反映している。
- 草地飼料畑における化学肥料を含まない窒素の養分収支(豚・鶏を除く)は本州の平均値で3.26と、潜在的に過剰である(図4)。
- 以上のように、わが国の草地飼料畑においては、面積に対して過剰な家畜飼養頭数に由来するふん尿養分により、潜在的傾向として窒素過剰である地域が大半を占める。
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成果の活用面・留意点 |
- 上記の結果は家畜ふん尿窒素の無機化特性等に基づく作物の利用率の概念、および脱窒、アンモニア揮散、土壌吸着等への分配を考慮しない潜在的傾向を示すものである。
- 家畜ふん尿生産量の計算は家畜飼養頭数を基に、農研センタープロジェクト第6チーム作成の家畜排泄物量推定プログラム(2000年1月)を準用して行った
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図表1 |
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カテゴリ |
肥料
鶏
豚
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