サイレージ中の乳酸異性体の産生に及ぼす要因およびL-乳酸比率の向上技術

タイトル サイレージ中の乳酸異性体の産生に及ぼす要因およびL-乳酸比率の向上技術
担当機関 草地試験場
研究期間 2000~2000
研究担当者 加茂幹男
河本英憲
小林亮英
張 建国
藤田泰仁
蔡 義民
発行年度 2000
要約 通常のサイレージは家畜が利用しやすいL-乳酸の比率が低い。その原因は材料草に付着する耐酸性が強く、L-乳酸のみを生成する乳酸菌が少ないことである。L-乳酸の比 率を向上させるために、草地試験場が分離した耐酸性の強い乳酸菌の接種が有効である。
背景・ねらい
 サイレージの発酵品質の改善のために、これまで単にサイレージ中の乳酸含量を増加させることのみ検討されてきた。しかし、乳酸にはL型とD型の異性体が存在し、D型は家畜体内で代謝されにくく、栄養学的にはL型がより優れているとされている。そこで、サイレージ中の乳酸異性体の産生状況やその産生に影響を及ぼす要因を解析する。さらに、サイレージ中のL-乳酸の生成比率を高めることを目的に、L-乳酸のみ産生する乳酸菌接種の有
効性を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. サイレージは通常L-乳酸が発酵初期に優占的に生成されるが、貯蔵1週間後D-乳酸がL-乳酸にかわって優勢になり、1か月間増え続ける。その結果、サイレージの貯蔵期間が延び
    るにつれてL-乳酸の比率が低下し、D-乳酸の比率が上昇する(図1)。
  2. サイレージのL-乳酸比率が低い原因は、材料草に付着するL-乳酸だけを産生する乳酸菌は酸性に弱く、サイレージpHの低下によってそれらの活動が抑制されることである(表1)。
    また、サイレージ中の優勢乳酸菌種と言われるDL乳酸を産生するLactobacillus plantarumはL-乳酸の産生比率が低い(図2)。
  3. 草地試験場で分離した耐酸性の強いL-乳酸のみを産生するL. casei NGRI0107またはL.rhamnosus
    NGRI0110の接種はサイレージ中のL-乳酸の産生比率を向上させる(図3)。
成果の活用面・留意点
  1. サイレージの乳酸異性体についての研究および乳酸菌添加剤の開発と利用のための基礎資料となる。
  2. L. caseiおよびL. rhamnosusの他の菌株でのL-乳酸産生能については検討していない。

図表1 225053-1.png
図表2 225053-2.png
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