タイトル |
ストレス負荷牛における末梢血好中球機能の寒冷と暑熱に対する対応 |
担当機関 |
草地試験場 |
研究期間 |
2000~2000 |
研究担当者 |
仮屋喜弘
花房泰子
石崎 宏
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発行年度 |
2000 |
要約 |
副腎皮質刺激ホルモン投与によりストレス状態にある牛では、末梢血好中球機能は低下するが、この低下は寒冷時には抑制され、暑熱時には助長される。
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背景・ねらい |
放牧家畜の損耗性疾患の発症には、入牧時の輸送や新しい群構成によるストレスに加え、放牧中の気象環境の急変などの自然環境要因が誘因となることが考えられるが、その詳細については不明である。そこで、環境温度の変化がストレス状態にある牛の生体防御機能に及ぼす影響を知るため、その指標の一つである末梢血好中球機能について検討した。
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成果の内容・特徴 |
- 15℃で馴致させた黒毛和種去勢育成牛3頭とホルスタイン種去勢育成牛6頭を、それぞれ寒冷と暑熱に感作し、同時にストレス状態を作出するため副腎皮質刺激ホルモンを3日間投与した。末梢血好中球の機能活性は化学発光(CL)法で測定した。
- 末梢血好中球CL能は、副腎皮質刺激ホルモン投与によって低下する傾向がみられ、ストレス時には好中球機能が低下することが示された(図1、図2)。
- CL能の低下は、-5℃の寒冷感作では15℃の場合より遅延し、投与終了2日後には試験開始前よりも高い値に達したことから、寒冷刺激はストレス状態にある牛に対し、好中球機能を高める方向に作用することが明らかとなった(図1)。
- 35℃の暑熱感作では、CL能は試験開始前のおおよそ13%にまで低下し、副腎皮質刺激ホルモン投与終了後も試験開始前のレベルには回復しなかったことから、暑熱刺激はストレス状態にある牛に対し、好中球機能を低下させることが明らかとなった(図2)。
- ストレス状態にある牛の末梢血好中球機能は、寒冷と暑熱では異なる反応を示したことから、入牧後にストレスを多く受けた牛では、寒冷よりむしろ暑熱刺激が末梢血好中球機能の抑制を引き起こし、細菌感染症など損耗性疾病の発生を助長させる可能性が考えられる。
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成果の活用面・留意点 |
- 放牧環境ストレスと生体防御能との関連性を知る上での基礎資料となる。
- 副腎皮質刺激ホルモン投与による人為的なストレス状態における結果である。
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図表1 |
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カテゴリ |
輸送
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