タイトル |
侵入が警戒されるインゲンマメ萎凋細胞病菌の特異的検出法 |
担当機関 |
農業環境技術研究所 |
研究期間 |
1994~1994 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1994 |
要約 |
インゲンマメ萎凋細菌病は種子伝染し、世界的に発生が警戒されている本邦未発生の重要細菌病である。本病原細菌とその類縁細菌の検出・同定を目的として、目的細菌を分離するための選択培地の開発、分離菌を検出するためのモノクローナル抗体の作製、および類似菌種との異同を確証するためのDNA-DNA相同性に基づく識別法を開発した。
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背景・ねらい |
細菌病が多発する原因の一つに栽植用種子の汚染が挙げられる。その一例として、インゲンマメ萎凋細菌病菌(Curtobacterium flaccumfaciens pv. flaccumfaciens)に感染した種子は種皮と胚乳の間に細菌が充満している。同菌を含む菌種C. flaccumfaciensには数種類の病原型があり、これらを他の病原菌や非病原菌から識別することは難しい。そこで、C. flaccumfaciensの特性を解明して、同菌種を選択的に分離する方法、分離された細菌を迅速に鑑別する方法、紛らわしい細菌が検出された場合にはそれらをより精密に識別する方法を開発すれば、本種細菌による病害の侵入あるいは発生・蔓延の防止に役立つと考えた。
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成果の内容・特徴 |
- 開発した選択培地にはC. flaccumfaciensがほとんど純粋に生育し、緑色、半球形、全緑で表面平滑な集落を形成した(図1)。本培地は多数の試料からの検出に有効である。
- インゲンマメ萎凋細菌病菌の菌体タンパク質を抗原として作製したモノクローナル抗体は、C. flaccumfaciensの種に特異的に反応した。本抗体は簡易・迅速な検出に役立つ。
- C. flaccumfaciensに近縁で生理・生化学的物質では容易に識別できない細菌の場合であっても、同種菌株の全DNAをプローブとし、Dig-ELISA kitを用いたマイクロプレートハイブリダイゼーション法によるDNA-DNA相同性では識別できた(表1)。本法は最も確実な結果が得られる方法である。
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成果の活用面・留意点 |
- インゲンマメ萎凋細菌病はマメ類の重要病害で、まだ日本には発生していない。したがって、本成果は輸入植物を検疫する際の検査法の一つとして有用である。
- 選択培地、モノクローナル抗体、DNA-DNA相同性に基づく識別法は、それぞれに経済性、迅速性、精度、手技の難易などが異なることから、目的、使用者の熟練度等に応じて使い分ける必要がある。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
いんげんまめ
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