クラスト形成土壌における雨水浸入過程と浸入モデルの作成

タイトル クラスト形成土壌における雨水浸入過程と浸入モデルの作成
担当機関 農業環境技術研究所
研究期間 1994~1995
研究担当者
発行年度 1995
要約 地表面に雨滴により形成されるクラストは,厚さ数mm以下と薄くその物理性測定は難しく雨水浸入過程の解析は遅れているが,表層水分変化の精密測定に基づき表面土層を3層とする浸入モデルを作成し,数値計算により浸入過程を再現した。
背景・ねらい  クラストは,裸地面への雨滴衝撃により微細粒子の分散と極表層への充填圧密が生じて形成される膜状の薄層であり,地表面における雨水の配分,すなわち浸入と表面流出に決定的な影響を及ぼしている。しかし,その厚さが極めて薄く物理性や水分測定が難しいために,雨水浸入現象の解析は遅れていた。ここでは,表層中水分変化の精密計測を行い,それに基づき差分型鉛直浸入モデルを改良し,雨水浸入過程を数値計算により再現し,さらに実測困難な表面薄層の物理性の推定ならびに表面流出発生の定量化への足がかりを得ようとした。
成果の内容・特徴
  • クラスト形成と雨水浸入過程:降雨開始後,マサ土表面における雨水浸入強度は速やかに低減し,原土の飽和透水性の3分の1以下の降雨強度にて表面流出が発生した。また,クラスト層への雨水浸入には降雨強度依存性および強弱の脈動性が認められ,雨滴がクラスト形成と破壊の双方に作用していることが推定された
    (図1)。
  • 表面薄層の2層構造:雨水浸入過程における表層部の水分変化から,クラスト層(0-5mm)の下部に厚さ数mmのやや透水性の低下した中間層の存在を推定した
    (図2a)。
  • 鉛直浸入三層モデルの適用:(2)項に基づき,鉛直浸入差分モデルを表面薄層部を2層に分け下層を含めた3層モデルに改良し,表面薄層部の物理性を(4)項のように推定した結果,数値計算による雨水浸入過程をほぼ再現できた
    (図2b)。浸入開始30分後における浸入水量の計算と実測の誤差は1.6~18%であった。
  • クラスト層の不飽和透水係数の推定:クラスト層は薄く不飽和透水係数の実測は困難であるので,その飽和透水係数値に原土の不飽和透水係数~水分特性曲線をマッチングして推定し,また,中間層について原土とクラスト層との対数平均を当てはめたが,数値計算結果はそれらが一応妥当であることを示した。
    図3
  • 成果の活用面・留意点
    1. クラスト形成土壌の構造特性の評価および表面流出発生の定量化が可能となる。
    2. クラスト形成の時間的過程,雨水浸入の降雨強度依存性等を含めたモデル作成,あるいは2,3次元への拡張は今後の課題である。

    図表1 225116-1.jpg
    図表2 225116-2.jpg
    図表3 225116-3.jpg
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