酸性土壌中における交換性アルミニウムの存在形態

タイトル 酸性土壌中における交換性アルミニウムの存在形態
担当機関 農業環境技術研究所
研究期間 1995~1995
研究担当者
発行年度 1995
要約 高分解能27Al-NMRおよびICPを用いて,溶液中のアルミニウムを形態別に定量する手法を開発した。酸性土壌から抽出される交換性アルミニウムをこの手法を用いて分析した結果,単量体アルミニウムあるいは2量体アルミニウムが主であり,13量体アルミニウムやヒドロキシケイ酸アルミニウムイオンはほとんど存在していないことが明らかになった。
背景・ねらい  日本には酸性土壌が広く分布しているが,この土壌酸性の原因物質は交換性アルミニウム(交換性Al)であり,植物の生育を著しく阻害することが知られている。一方,交換性Alに対する植物の感受性は多様であるため,土壌酸性と植生とは密接な関係がある。また,この交換性Alは他感物質の土壌中における動態にも影響を及ぼしていると考えられる。交換性Alの存在形態としては,一般的に考えられる単量体あるいは2量体Al以外に,近年では植物に対して強い毒性を示す13量体アルミニウム(Al SIZE=-1>13)が注目されている。また,ヒドロキシケイ酸アルミニウム(HAS)イオンは土壌粘土の層間から見いだされている。しかし,交換性Alがどの存在形態をとっているのかは明らかになっていない。本研究では,Alを形態別に定量する手法を開発し,酸性土壌から抽出される交換性Alの存在形態について明らかにした。
成果の内容・特徴
  • 土壌中における交換性Alの存在形態を,(1)Al SIZE=-1>13,(2)HASイオン,(3)単量体Alおよび2量体Alを含む比較的単純な構造を持ったAl(Al SIZE=-1>mono)に分けて考えた。高分解能27Al-NMRにより,代表的なAl SIZE=-1>monoであるヘキサアコアルミニウムイオン
    (図1)およびAl SIZE=-1>13
    (図2)を高感度で定量可能であることが分かった。
  • HASイオンはNMRでは検出できなかったもののICPでは検出できたので,NMRでの測定結果と合わせれば,3種類のAlを形態別に定量できることが明らかになった。
  • 代表的な日本の酸性土壌の7断面(土壌pH:3.6-5.5)の各層位から交換性Alを抽出(土壌:1M-KCl=2:5)し,これを形態別に定量した結果,Al SIZE=-1>13は全く検出されなかった。また,ICPにより測定される全Alの大部分は,NMRで観測されるAl SIZE=-1>monoで説明可能であった
    (図3)。以上のように今回供試した酸性土壌においては,土壌抽出液中の交換性AlはほとんどがAl SIZE=-1>monoの形態で存在していることがわかった。
  • 成果の活用面・留意点  その他の土壌や環境中などにおけるAlの存在形態や,Al SIZE=-1>monoの内容をさらに明らかにしていく必要がある。
    図表1 225120-1.jpg
    図表2 225120-2.jpg
    図表3 225120-3.jpg
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