農産物中の残留農薬の多成分同時分析法

タイトル 農産物中の残留農薬の多成分同時分析法
担当機関 農業環境技術研究所
研究期間 1993~1995
研究担当者
発行年度 1995
要約 農産物中の残留農薬のモニタリングでは多数の残留農薬を同時に迅速に分析する必要がある。固相抽出法、ゲルクロマトグラフィー及び活性炭・フロリジルミニカラムを用いた汎用性のある残留農薬分析法を開発した。
背景・ねらい  現在、我が国では食用作物に約300種類の農薬が使用されている。食物中の残留農薬については国民の一大関心事である。しかし、残留農薬のモニタリングは高度の分析技術を必要とする。このため、簡便、迅速で多成分の農薬を測定できる分析法を開発した。
成果の内容・特徴
  • マルチ分析法の概要
    (1)農産物中の残留農薬をアセトンで抽出する。アセトンは水と混ざり合うため試料内に浸透して残留農薬をよく抽出する。
    (2)抽出液に含まれている水は分析の妨害となる。水を除くために、抽出した農薬を珪藻土カラムを用いてヘキサンやジクロロメタンなどの溶媒に転溶させる。従来用いていた分液漏斗に代えて珪藻土カラムを用いることで分析の障害となる乳濁現象を完全に回避できる。
    (3)脂肪、葉緑素、タンニンなどの妨害物が多い試料の場合はゲルクロマトグラフィー(
    GPC)を用いて妨害物を取り除く。GPCは分子ふるいの作用で農薬と分子量の大きい妨害物を分離する。
    (4)しかし、GPCでは低分子の妨害物を除去できない。低分子の妨害物はミニカラム
    (図1)で除去できる。
    (5)脂肪を含まない野菜や果物類の残留農薬はミニカラムの精製だけで十分測定できる。
    (6)測定は、アルカリ熱イオン化検出器(
    FTD)又は電子捕獲型検出器(ECD)付きガスクロマトグラフを用いる。最小検出量は、有機りん農薬0.01ng、含窒素農薬0.05ng、有機塩素農薬0.005ng。
  • 分析法の特徴
    (1)脂肪分のない野菜、果物では抽出から測定終了まで2時間。
    (2)GPCカラムは繰り返し使用可能。
    (3)肉、魚類の残留農薬の分析が可能。
    (4)ミニカラムの製作費用は数十円と安価。
    (5)GPCとミニカラムを併用すると有機塩素農薬の高感度分析が可能。
  • 成果の活用面・留意点  この研究成果は、農産物中の多成分の残留農薬のモニタリングに適用できるので農業団体及び都道府県が行う農産物中の残留農薬のモニタリングに利用できる。
    図表1 225121-1.jpg
    図表2 225121-2.gif
    図表3 225121-3.jpg
    図表4 225121-4.jpg
    カテゴリ 病害虫 農薬 分析技術 モニタリング

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