ナガボノウルシ(Sphenoclea zeylanica)に含まれる新規植物生長阻害物質

タイトル ナガボノウルシ(Sphenoclea zeylanica)に含まれる新規植物生長阻害物質
担当機関 農業環境技術研究所
研究期間 1995~1995
研究担当者
発行年度 1995
要約 熱帯産植物に含まれる植物生育阻害物質を探索し、タイ国で強害雑草となっているナガボノウルシから新規な生育阻害物質2種を見出した。本物質は共に環状のジチオラン骨格を持ち、レタス、キュウリの幼根伸長を18~30 ppmで50%阻害した。
背景・ねらい  強害雑草の中には、アレロパシー(他感作用)により作物に害を与えるものがある。一方、アレロパシーの強い植物を生態系調和型農業における雑草制御に利用する試みも考えられる。熱帯地域は植生が豊富であり、植物間の競争も激しいことから、アレロパシーの寄与が大きいとされる。本研究では、とくにタイ国で強害水田雑草となっており、近年九州地方にも侵入して問題雑草となりつつあるナガボノウルシの植物生育阻害物質を単離同定する。
成果の内容・特徴
  • ナガボノウルシの地上部乾燥粉末のメタノール抽出物から、
    図1に示す方法により2種の生育阻害物質SZ-1およびSZ-2を単離した。
  • 両化合物は、水中で熱により互いに変換し、最終的には平衡混合物となることが明らかとなった
    (図2)。
  • SZ-1は質量分析の結果、C SIZE=-1>4H SIZE=-1>8O SIZE=-1>3S SIZE=-1>2の組成式を持ち、分子量は168であった。
  • SZ-1は、UV,IR,NMR 、および種々の化学反応の結果、チオスルフィネート結合を含むスルフォキシドで、
    図3の立体構造を持つことが明らかとなった。
  • SZ-2は種々の機器分析の結果、チオスルフィネート部におけるSZ-1の立体異性体であることが判った。
  • 両化合物の生長阻害活性には差がなく、たとえばレタスに対しては、18ppmの濃度で幼根伸長を50%阻害した
    (図4)。
  • 成果の活用面・留意点
    1. ナガボノウルシのアレロパシー解明に資する。
    2. 作用機構と構造-活性相関の究明を早急に進めている。

    図表1 225129-1.jpg
    図表2 225129-2.jpg
    図表3 225129-3.jpg
    図表4 225129-4.jpg
    カテゴリ 病害虫 乾燥 きゅうり 雑草 水田 レタス

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