タイにおける水田からのメタン発生

タイトル タイにおける水田からのメタン発生
担当機関 農業環境技術研究所
研究期間 1994~1995
研究担当者
発行年度 1995
要約 熱帯の水田からのメタン発生の特徴を明らかにするために,タイ国の9地点の水田でメタンフラックスを雨期と乾期に測定し,その経日変化や日変化が温帯の日本と異なっている場合があること,一栽培期間中のメタン発生量は 3~76 g/m-2と巾が大きく地温だけでなく土壌の化学的性質がその発生に大きく影響を与えていることを解明した。
背景・ねらい  水田からのメタン発生に関するこれまでの調査は温帯地域だけで実施されており,気候や栽培体系の異なる熱帯での調査がなかった。この研究の目的は,熱帯のタイの水田でチャンバ-法によりメタン発生に関する調査を行い,温帯地域の日本の茨城県内の水田で実施された結果と比較して,その特徴を明らかにすることである。
成果の内容・特徴
  • 一栽培期間中のメタンフラックスの経日変化は,栽培初期から非常に大きく後期までほとんど変化しないという,日本にはない熱帯特有のパターンがみられた
    (図1)。その他に,日本と同様に,栽培初期は小さく後期に大きくなるという経日変化もみられた。
  • メタンフラックスの日変化は,日本と同様なパターンであり,晴れた日には,朝から増大し始め午後の前半に最大となり夜間に小さくなった
    (図2)。しかし,日中の最大値と夜間の最小値の比は,タイでは約4倍であり,日本よりも2倍も大きかった。
  • タイの9地点における雨期と乾期の一栽培期間中のメタン発生量は 3~76g m-2であり,非常に巾が大きかった
    (表1)。また,潅漑水田と天水だけによる非潅漑水田とでは,発生量に差がみられなかった。タイの水田からのメタン発生量を日本と比較すると,ほぼ同じ範囲にあったが,多い地点もみられた。発生量の少ないタイの地点の土壌は,硫酸酸性土壌や易還元性マンガン濃度が高く,このような土壌の化学的性質がメタン発生に大きく影響を及ぼしていた。
  • 熱帯の水田におけるメタン発生量のこれまでの推定手法は,温帯地域の水田で得られた地温とフラックスの関係を外挿して求めていた。しかし,この研究の結果,その手法には問題があり,土壌の化学的性質や有機物量及び栽培体系などを考慮して,メタン発生量を推定すべきであることが明らかになった。
  • 成果の活用面・留意点  水田からのメタン発生要因や,世界の水田からのメタン発生量を推定する場合に,活用できる。なお,この調査は,タイ各地の稲作試験場で実施したものであり,今後は,施肥量や栽培管理などが異なる実際の農家の水田での測定が必要である。
    図表1 225141-1.jpg
    図表2 225141-2.jpg
    図表3 225141-3.gif
    カテゴリ 栽培技術 栽培体系 水田 施肥

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