タイトル |
農林地のもつ国土保全機能の全国評価マップ |
担当機関 |
農業環境技術研究所 |
研究期間 |
1995~1996 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1995 |
要約 |
「国土資源」プロジェクト研究等で開発された評価手法をもとに,地形,土壌などにかかわる数値データを用い,4種類の国土保全機能(土壌侵食防止機能,土砂崩壊防止機能,水かん養機能,大気浄化機能)について全国の農林地を評価し,パソコン用メッシュデータベースを作成するとともに,その結果をマップに表現した。
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背景・ねらい |
これまで日本の農村は農産物や林産物を生産しながら,都市地域も含めた周辺地域の環境を保全し,自然災害を最小限にくい止めたり,環境悪化を防ぐ役割を担ってきた。しかし,最近の中山間地域における過疎化や近郊農村における無秩序な混住化は,農林地の持つ,こうした国土保全機能を弱めつつある。そこで面的広がりをもって分布する農林地がもつ各種の国土保全機能機能を科学的根拠に基づいて評価する手法を開発し,それぞれの農林地が持つ国土保全上の特性がわかるマップを作成した。本マップは国土の保全・整備や農山村の活性化の基礎資料として役立て得る。
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成果の内容・特徴 |
国土数値情報3次メッシュ(約1㎞×1㎞)を基本評価単位とし,土壌侵食防止機能,土砂崩壊防止機能,水かん養機能,大気浄化機能(NO SIZE=-1>2ガスの吸収量)に強く関与する地形,土壌,気候等の10種類の環境要因を取り上げ各要因ごとに約37万個のメッシュデータベースを作成した。また,機能ごとに機能評価式と環境要因のカテゴリー評点表を作成し,これらをパソコンシステムに組み込んだ。 現在の土地利用状況下で計算した保全機能評価値(現況評価値)と,仮にメッシュ内の全農林地が荒地化(耕地では耕作放棄,林地では皆筏等)した場合の保全機能評価値との差(ギャップ値)を「農林地の持つ国土保全機能評価値」とした。 土壌侵食防止機能はUSLE式に基づき,降雨強度,傾斜角,土地利用,土壌の種類,土性データを使って評価した。土砂崩壊防止機能は,崩壊の原因となる降雨及び崩壊の難易に関わる表層地質・地形分類・傾斜・土地利用・土性・植生データを用いて評価した。水かん養機能は,降水量・土地利用・傾斜といった土地の水受給における立地上の優劣と,土壌・表層地質といった水受入に関する土地の属性の優劣の和で評価した。大気浄化機能は,植生ごとの総光合成速度(CO SIZE=-1>2吸収速度)にしたがい汚染物質の吸収量を推定した値と,大気の汚染濃度値とにより評価した。 作成したデータベースはパソコンシステムで稼働することができ,データを全国,地方,都道府県,市区町村,河川流域単位で切り出し,評価結果をデスプレー上に表示するとともに,カラーマップ (図1,2)を作成できる。
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成果の活用面・留意点 |
- 地方自治体等においては,この評価結果を使い
図3で示したフローにより,それぞれの地域における農林地の保全方策を検討できる。
- 環境要因の評点コード表は,全国で普遍的に適用できるようにテーブルを作成したため,特殊な地質母材等が広く分布する地域では評価の妥当性をチェックする必要がある。
- ここで評価した値はあくまでも相対的評価(全国平均を50点とした100点満点法)であって,絶対量に直接換算することは出来ない。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
カラー
中山間地域
データベース
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