反射スペクトル計測による水稲生育量のモニタ手法

タイトル 反射スペクトル計測による水稲生育量のモニタ手法
担当機関 農業環境技術研究所
研究期間 1995~1997
研究担当者
発行年度 1995
要約 可視から中間赤外に感度をもつ小型の分光センサによって,水稲群落のバイオマス,葉面積指数,窒素含有量など生育診断の基礎となる生育情報を非破壊で迅速に推定する手法を開発した。
背景・ねらい  作物の栽培管理を的確に行い,かつ肥料・農薬など化学資材の適正利用を図るためには,作物生体の生育状態をリアルタイムあるいは広域的に計測し,診断に結び付けることが必要となる。迅速かつ非破壊的に生育をモニタするための方法として,携帯型の分光センサによる反射スペクトル計測に基づき,水稲のバイオマス,窒素吸収量など生育状態を遠隔的に推定する手法を開発した。
成果の内容・特徴
  • 小型の7バンド(560, 660, 830, 1100, 1200, 1650, 2200nm;視野角15゜)分光センサを用い,密度と施肥量を変化させた水稲群落(日本晴)の生長初期から成熟期までの全生長過程にわたって,毎週約2回の頻度で群落の反射スペクトルを追跡的に測定した。測定は水稲群落の上方約2mから直下方向に行った。反射輝度を標準白板(BaSO SIZE=-1>4)で校正することで,反射係数R***(***は波長nm)が求められる。
  • 反射係数および各種指標のうち,R1650-R1100が地上部バイオマスおよび葉面積指数と(r=-0.91),R1100/R560が葉身窒素量と(r=0.93),R1100/R830が葉身窒素含有率と(r=-0.81),R1100-R830は水分含有率と(r=-0.77),それぞれ相関が高い。
  • 診断予測に重要度の高い出穂期までの期間について,地上部バイオマスは660, 1100,1650nmの3波長を,葉面積指数は660, 830, 1100, 1650nmの4波長を,葉身窒素量については560, 830, 1650, 2200nmの4波長を用いることによりぞれぞれ最も寄与率(自由度調整済)の高い重回帰式が得られた。回帰分析に用いたのとは別のデータを用いて予測値と実測値を比較したところ,これらの回帰モデルによって生育量情報を精度良く推定できた
    (図1,2,3)。
  • 単位土地面積当たりの葉身窒素量と,群落の光吸収能と比例関係にあるSAVI(1.5[R830-R660]/[R830+R660+0.5])との間に,全生育期間を通じて密接な関係があることがわかった.土地面積当りの葉身窒素総量は群落の光合成有効放射吸収能を強く規定しており,光合成容量や倒伏予測の指標,生長モデルへの入力として有用と考えられる
    (図4)。
  • 成果の活用面・留意点
    1. 日本型水稲の各生育段階におけるバイオマス,葉面積,窒素吸収量を,サンプリングすることなく迅速に推定する上で有効。施肥調節,倒伏予測など生育診断の基礎となる。
    2. ハンディな実用機の開発ならびに航空機等によるマッピングへの活用が期待される。
    3. 草型が大きく異なる品種や太陽高度が低い条件では係数校正が必要になる場合がある。
    図表1 225144-1.jpg
    図表2 225144-2.jpg
    図表3 225144-3.jpg
    図表4 225144-4.jpg
    カテゴリ 肥料 病害虫 栽培技術 水稲 施肥 農薬 品種

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