画像入力パーセプトロン型ニューラルネットワークによるダイズ草姿評価モデル

タイトル 画像入力パーセプトロン型ニューラルネットワークによるダイズ草姿評価モデル
担当機関 農業環境技術研究所
研究期間 1995~1998
研究担当者
発行年度 1995
要約 専門家の草姿評価を代替する,二値画像を直接入力としたパーセプトロン型ニューラルネットワークモデルを開発した。モデルと専門家評価との一致度は平均75%程度を達成することができた。
背景・ねらい  作物の生育診断や品質評価などは,従来専門家の目視によって行われてきた。それらは優れた結果をもたらし得るが,安定性や労働力の点で問題があり,定量データによって専門家の視覚的評価・判定を支援する技術が強く望まれている。本研究では,育種におけるダイズ草姿の視覚的判定を一例として,パーセプトロン型ニューラルネットワークによる視覚代替モデルの開発を行う。
成果の内容・特徴
  • 粒肥大始期のダイズ175品種・系統875個体の側面草姿をビデオカメラで撮像し,二値化してシルエットを抽出した。3人のダイズ育種家にシルエットを提示して3段階評価(“Good”,“Fair”,“Poor”)を得,そのうち評価が一致した326個体を選択した
    (図1)。判定モデルには多層パーセプトロン型のニューラルネットワークを用いた。シルエットからの特徴抽出は一切行わず,二値画像をそのまま入力した。目標出力は専門家評価とした
    (図2)。育種上は“Good”の個体を確実に選抜することが重要であるため,“Good”と“Not Good”(“Good”でないもの)との識別を目標とした。
  • 典型的な草姿26個体を学習データとし,残りの300個体をモデル評価のためのテストデータとした。一つのネットワーク構造に対し,結合係数の初期値を変えて学習を100回行った。各初期値に対して収束後,モデル評価を行い,正解率の分布を調べた。ここでは,テストデータを入力したときのパーセプトロンの出力が専門家評価と一致した割合を正解率と呼ぶことにする。層数,素子数,結合数の異なるパーセプトロンを約150種用意し,それぞれについて実験を行った。なお,ニューロコンピューティングはC言語で作成したプログラムによりワークステーション上で行った。
  • いずれのネットワーク構造に対しても,“All”(“Not Good”,“Good”を総合したもの),“Not Good”,“Good”の正解率の平均はそれぞれ75%,80%,60%程度であり
    (図3),パーセプトロンは視覚的判定モデルとして有効であった。正解率の平均及び標準偏差の散布図を作成して,ネットワーク構造と正解率との関連性を調べたところ,(1)隣接する層間で素子数が大幅に異なる(およそ1:100以上)とき,(2)層数が多い(入力層と出力層を含めて4層以上)とき,(3)隠れ素子数が多い(およそ入力素子数と同数以上)とき,正解率の標準偏差が大きくなって不安定になる傾向があった。
  • 成果の活用面・留意点 [成果の活用・留意点] 画像直接入力モデルは,特徴抽出を必要しないため汎用的で,ダイズ以外の草姿や作物形状などにも利用可能である。このとき,適切な学習データを与えることが条件となる。
    図表1 225146-1.jpg
    図表2 225146-2.jpg
    図表3 225146-3.jpg
    カテゴリ 育種 大豆 品種

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