畑地および水田生態系における炭素収支

タイトル 畑地および水田生態系における炭素収支
担当機関 農業環境技術研究所
研究期間 1995~1995
研究担当者
発行年度 1995
要約 陸稲,トウモロコシ,水稲を一毛作した耕地における炭素収支を解析し畑地と水田では収支が異なることを明らかにした。畑地生態系の年間の炭素収支は270~310gCm-2のマイナスを示した。一方,水田生態系の収支はわずか20gCm-2のマイナスを示すのみであり,炭素収支の視点から見た場合,水田は比較的バランスのとれた系であることが示唆された。
背景・ねらい  大気中の二酸化炭素濃度は現在急速に増加しつつあり,遠からず地球環境に対して深刻な影響を与えるのではないかと懸念されている。この問題に対処するためには,大気中の二酸化炭素濃度に対する森林等の自然生態系や農耕地等の半自然生態系の影響をできる限り正確に知る必要がある。ここでは一毛作耕地における作物-土壌系に焦点を当て,耕地生態系における炭素(CO SIZE=-1>2)の収支を解明する。
成果の内容・特徴
  • 畑地生態系の年間の炭素収支は270~310gCm-2のマイナスを示した。このマイナス分は,地下70cmまでの炭素の蓄積量の1.2~1.7%に相当し,このような耕種方法を繰り返せば,土壌に蓄積されている炭素が年々消費され,耕地土壌の消耗を招くことが示唆された。
  • 炭素収支という視点から見た場合,畑地生態系の安定性を維持する上で,作物の収穫残さ等の有機物を系内にもどすといった耕種方法の工夫が必要であることを示唆した。
  • 水田生態系の年間の炭素収支は20gCm-2のマイナスを示した。このマイナス分は,地下50cmまでの炭素の蓄積量のわずか0.2%程度にすぎず,水田における炭素収支は比較的バランスがとれていることを明らかにした。
  • 畑地と水田生態系の炭素収支を比較すると,畑地の方が土壌中の炭素(有機物)の消耗が激しいことが明らかになった。この差は水田における湛水期の土壌有機物の分解速度の低さに一つの原因があると推察された。
    (具体的データ)
  • 成果の活用面・留意点
    1. 畑地と水田の一毛作耕地における炭素収支の実態を明らかにしたことにより,今後の対応についての基礎資料となる。
    2. 二酸化炭素の収支・動態の予測モデルを構築するための基礎資料となる。

    図表1 225150-1.gif
    カテゴリ 水田 とうもろこし 陸稲

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