紫外線(UV-B)が雑草の生育特性に及ぼす影響

タイトル 紫外線(UV-B)が雑草の生育特性に及ぼす影響
担当機関 農業環境技術研究所
研究期間 1995~1996
研究担当者
発行年度 1996
要約 全国に広く分布する雑草種(シロザ,ハルタデ,メヒシバ,ツユクサ,ハハコグサ,オオイヌタデ,スベリヒユ,オオバコ)に紫外線(UV-B)を照射すると生産量が減少し成長が阻害される。生産量の減少はメヒシバで最も小さく,スベリヒユで最も大きい。ツユクサでは開花が大きく遅れ,繁殖活動への影響も大きい。オオバコでは,エコタイプ間で紫外線照射による影響に差異があると考えられる。
背景・ねらい  雑草の紫外線に対する反応についての報告は非常に少なく,紫外線が個体の生育に及ぼす影響や紫外線に対する感受性の種間及び種内の差異については不明な点が多い。そこで,本研究では紫外線放射量の増加による雑草群落の変化を推定するための基礎資料を得る目的で,国内に広く分布する雑草8種(シロザ,ハルタデ,メヒシバ,ツユクサ,ハハコグサ,オオイヌタデ,スベリヒユ,オオバコ)について,温室内で紫外線(UV-B)を照射し,生産活動(個体重比;紫外線照射区個体重と対照区個体重の比)及び繁殖活動(遅延日数;紫外線照射による開花までの日数の遅れ)に及ぼす影響について解析する。
成果の内容・特徴
  1. 紫外線照射装置の作成:市販の紫外線ランプにマイラー膜(波長320nm以上はほぼ完全に透過する)を巻き付けたものを対照区,セルロースアセテート膜(波長290nm以下を遮断する)をランプに巻き付けたものを紫外線照射区とする(表1)。対照区での紫外線強度は,つくば市の冬期・野外・晴天時に測定した値の0.7倍,紫外線照射区では1.6倍である。
  2. 紫外線の照射による生産量の減少はメヒシバ,ハハコグサでは非常に少ない。しかし,シロザ,オオイヌタデ,ツユクサ,ハルタデ,スベリヒユでは50%以上の生産量の減少が見られる。特に,スベリヒユでは生産の阻害が著しく大きい(図1)。
  3. 生産量と開花までの日数の遅れはツユクサで最も大きく,シロザとハルタデでは生産量には大きな減少が見られるが,開花までの日数には大きな影響は見られない。また,メヒシバでは生産量並びに遅延日数において大きな変化は見られず,供試雑草の中で最も耐性のある植物と考えられる(図2)。
  4. 紫外線照射によるオオバコの個体生産量は,鹿児島産のタイプⅡ型(常緑性を有し,冬期に落葉せず成長を続けるエコタイプ)に比べ,つくば及び札幌産のタイプⅠ型(冬期に落葉し休眠するエコタイプ)で明らかに減少し,生育地の緯度によるよりもエコタイプ間での影響が大きいと考えられる(図3)。
成果の活用面・留意点  オゾン層のオゾン量減少に伴う紫外線放射量増加による雑草群落構成種の変化及び雑草害の推定のための基礎資料となる。
図表1 225168-1.gif
図表2 225168-2.gif
図表3 225168-3.gif
図表4 225168-4.gif
カテゴリ 病害虫 雑草 繁殖性改善

こんにちは!お手伝いします。

メッセージを送信する

こんにちは!お手伝いします。

リサちゃんに問い合わせる