タイトル |
小河川に適した流量計測・自動連続採水装置 |
担当機関 |
農業環境技術研究所 |
研究期間 |
1997~1998 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1997 |
要約 |
小河川における水質モニタリングに適した簡便な流量計測・採水装置を開発した。装置はポンプ式採水装置とフロート式水位計からなり,バッテリー電源で作動する。またポケットベルによる遠隔スイッチで急な降雨に対応した採水が可能である。本装置により,河川流量増大時の窒素とリンの上昇ピークを捉えることができる。
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背景・ねらい |
流域における河川流量とその水質は,地形,植生などの自然要因に加え,農業など二次自然要因や人間活動を総合的に反映しており,重要な環境モニタリング項目である。しかしながら,小河川流域で測定する場合,高価な装置を必要とし,加えて交流電源の確保や遠距離で交通不便等,観測の障害が多い。その観測を軽便にするために試料の持ち帰り分析を前提とした簡便な採水装置を開発した。その際に水位計を含めて一体化した装置とし,価格の低減を図った。
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成果の内容・特徴 |
- 自動連続採水装置:数メートル幅の小河川に設置する。バッテリー電源で任意の採水間隔で流水の自動連続採水が可能である。本装置の採水開始は,急な降雨に対応可能なポケットベルを用いた遠隔スイッチと現地での手動スイッチの2通りである(図1)。
(仕様)バッテリー電源(12v×2個,6v×1個),採取瓶(250cc)×24本,採水間隔は10分~5時間,小型モータとポンプによる吸水,バッテリー交換(24本×2回程度)
- 流量測定:水位は10分間隔で常時測定し,半年の記憶容量を持つデータロガーに記録し,水位・流量曲線から流量に換算する。水位の測定にはフロート式と圧力センサー式を比較検討し,安定した応答が得られる前者を採用した。後者は泥に埋没してしまうと感知不能になった。
- 測定事例:茨城県八郷町川又川支流域帆崎川において上記装置を3カ所に設置した。
本装置により年間を通じた水質モニタリングが可能となった。特に,従来頻繁な採水が困難であった豪雨に伴う流量の増大時において硝酸態窒素濃度及び全リン濃度の上昇ピ-クを捉えることができた(図2)。
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成果の活用面・留意点 |
- 農業用排水路等の小河川への設置は,地元土地改良区または河川管理者の許可が必要である。
- 河川からの採水口は,泥・ゴミにより直ぐに目詰まりするため,サンプリングが終了した時点で必ず点検すること。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
モニタリング
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