タイトル |
HPLC−MS/MSによるスルホニル尿素系除草剤の超微量分析法の開発 |
担当機関 |
農業環境技術研究所 |
研究期間 |
1997~1997 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1997 |
要約 |
主要な水田用除草剤であるスルホニル尿素系除草剤は従来分析が困難であった。エレクトロスプレーイオン化HPLC-MS/MS装置を用いた分析法を開発することにより,従来と比較し簡便でかつ1,000倍以上の高感度で定量することが可能となった。
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背景・ねらい |
スルホニル尿素系除草剤は,現在日本における水稲栽培用の主要な除草剤である。しかし本系薬剤は,高活性なため従来の除草剤と比較し低薬量(数mg/m2)で用いられること,また,ガスクロマトグラフ装置では熱分解を起こすことなどから,一般的な農薬分析法では測定が困難であった。そのため,その活性の高さと広範な使用から環境への影響が懸念されていたにも関わらず,環境動態の研究は十分に行われていない。本研究では,スルホニル尿素系除草剤の定量を目的として,エレクトロスプレーイオン化(ESI)法を用いた高速液体クロマトグラフ-四重極タンデム型質量分析装置(HPLC-MS/MS)(図1)による超微量分析法を開発する。
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成果の内容・特徴 |
- ESI法によるスルホニル尿素系除草剤の主要なイオンは,分子へのH+付加により生じた擬分子イオン〔M+H〕+であった。このことからESI法は本系統除草剤のLC-MS分析に適切なイオン化法と考えられた。
- 水田用に広く用いられている本系統除草剤のベンスルフロンメチルとイマゾスルフロンについて,田面水中の両薬剤のHPLC-ESI-MS/MSによる定量法を開発した。田面水はガラスフィルターで濾過後,HPLC移動相組成に調整し,高速遠心により微粒子を除いて分析試料とする。濃縮・精製操作は必要ない。試料10μlを装置に注入しMRM法(Multiple Reaction Monitoring法:〔M+H〕+を前駆イオンとし,各々のフラグメントイオンを観測する)(図2)により定量を行う。本分析法によりベンスルフロンメチルを検出限界0.01ng/ml,またイマゾスルフロンを0.03ng/mlの高感度で定量することができた。これは,従来の分析法の1,000倍以上の感度である。(図3)
- 本法を用いて,圃場における両薬剤の田面水中の濃度変化を調べた。散布49日後の各薬剤濃度は0.3ng/mlであった(図4)。
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成果の活用面・留意点 |
試料を濃縮精製することによりさらなる高感度分析も可能ある。土壌中の薬剤濃度についても簡単な前処理をおこなうことによって同様に分析できる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
病害虫
除草剤
水田
水稲
農薬
薬剤
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