タイトル |
非殺菌性化合物アシベンゾラルSメチルによるキュウリ病害抵抗性の誘導 |
担当機関 |
農業環境技術研究所 |
研究期間 |
1997~2000 |
研究担当者 |
|
発行年度 |
1997 |
要約 |
非殺菌性のベンゾチアジアゾール系化合物,アシベンゾラルSメチルをキュウリ葉に施用することによって炭疽病や黒星病に対する局部的及び全身的獲得抵抗性が誘導される。化合物処理により,キュウリ葉のパーオキシダーゼ,キチナーゼ遺伝子が速やかに発現し,抗菌性物質benzyl hydroperoxideの生成量も増大する。
|
背景・ねらい |
植物に全身的獲得病害抵抗性のような永続的な免疫性を付与する化合物アシベンゾラルSメチルについて,その抵抗性誘導機構を分子や遺伝子のレベルで解明する。また,これに基づいて,従来の殺菌剤による病害防除とは異なる環境低負荷型の新たな作物保護技術の開発を目指す。
|
成果の内容・特徴 |
- キュウリ第1葉を非殺菌性のベンゾチアジアゾール系化合物アシベンゾラルSメチル(benzo〔1,2,3,〕-thiadiazole-7-carbothioic acid S-methyl ester,ノバルティス社より分譲)の100ppm液に5秒間浸漬処理し,その3時間後キュウリ全体に炭疽病菌または黒星病菌を接種すると,第1葉のみならず上位葉においても発病が顕著に抑制される(図1)。
- アシベンゾラルSメチルを浸漬処理したキュウリ第1葉からRNAを抽出してRT-PCRを行うと,抵抗性に関連すると想定されるパーオキシダーゼ,キチナーゼ及びグルカナーゼ遺伝子の転写活性が速やかに増大している(図2)。
- アシベンゾラルSメチルを噴霧処理したキュウリ植物体地上部における抗菌性物質の増大をバイオオートグラフィーにより見い出した。 また抗菌性物質の化学構造をbenzyl hydroperoxideと同定した(図3)。これは天然物としては未報告の化合物である。
|
成果の活用面・留意点 |
作物における病害抵抗性誘導機構に関する基礎的知見が得られ,抵抗性関連遺伝子を導入した組換え体作物の作出に役立つ。
|
図表1 |
 |
図表2 |
 |
図表3 |
 |
カテゴリ |
病害虫
きゅうり
黒星病
炭疽病
抵抗性
病害抵抗性
防除
|