衛星データを利用した草地利用形態および牧草収穫時期の把握

タイトル 衛星データを利用した草地利用形態および牧草収穫時期の把握
担当機関 農業環境技術研究所
研究期間 1997~1997
研究担当者
発行年度 1997
要約  衛星光学センサによって牧草収穫の有無が良く判ることを利用して,牧草地の利用形態と牧草収穫時期の変化を捉えた。北海道・根釧地域を対象とした解析の結果,1980年代から1990年代にかけての採草地の増加,適期収穫の普及が観測され,草地管理が集約化している状況が捉えられた。
背景・ねらい  草地の利用形態には大きく分けて放牧利用と採草利用がある。放牧利用では乳牛の採食量を把握することが難しく,乳量や乳成分が一定しないこと等から,近年では専用の放牧地は減少し採草地が増加している。一方,採草地においては,より高い栄養価の牧草を得るために適期に収穫を行う必要がある。草地利用形態の変化や適期収穫の現状に関する実態把握は,試験場や普及所が管理計画を立案する上で重要である。現在は,農家に対するアンケート等により部分的な調査が実施されているが,十分な調査を広範囲にわたり行うには多大な時間と労力が必要となる。そこで,衛星データから草地利用形態の変化と適期収穫の浸透程度を捉えることを試みた。
成果の内容・特徴
  1. 北海道・根釧地域の草地地帯(基幹草種はチモシー)を対象に衛星光学センサデータの特徴を調べた結果,Landsat MSS, MOS-1 MESSR,Landsat TMデータにおいて既に収穫済みの草地と未収穫の草地は明確に判別できた(図1)。
  2. 専用の放牧地では牧草の採草収穫は全く行わないが,採草地では年次内に少なくとも1度は牧草の収穫を行う。従って,牧草収穫時期の複数の衛星データから収穫の有無を調べれば放牧地と採草地の判別ができる(図2左)。また,一番草の収穫適期(対象地域では6月下旬)における収穫済み面積を調べれば,適期収穫の普及程度を理解することができる(図2右)。ここでは,1980年代と1990年代について本解析手法による結果を比較し,これらの変化を調べ,対象地域での現状と比較することとした。
  3. 草地の利用形態については1982~1986年に採草地の割合が60.1%だったが,1990~1994年には77.0%になっていた(図3)。また,牧草収穫時期については1986年6月28日の18.3%から1992年6月28日の44.1%(図4),1982年7月5日の27.7%から1990年7月2日の43.2%へと変化していた。これらの採草地の増加や適期収穫の浸透は地上調査によっても報告され,調査対象年次および調査方法の違いによる差異は見られるものの,その傾向は衛星データの解析結果と良く一致していた(図3右,図4右)。そのため,対象地域における1980年代から1990年代にかけての採草地の増加,適期収穫の浸透が本解析手法により観測できたと考えられた。
成果の活用面・留意点
  1. 衛星データによって広域の草地利用形態および適期収穫の現状が捉えられるため,地域レベルでの草地管理の現状を理解するのに利用できる。
  2. 他の地域に応用するには,その地域に適した方法であらかじめ草地のみを抽出する必要がある。
図表1 225229-1.gif
図表2 225229-2.gif
図表3 225229-3.jpg
図表4 225229-4.jpg
カテゴリ 乳牛

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