タイトル |
分解細菌集積木質炭化素材を用いた難分解性農薬のバイオレメディエーション |
担当機関 |
農業環境技術研究所 |
研究期間 |
1999~1999 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1999 |
要約 |
土壌中から単離した難分解性農薬分解細菌を木質炭化素材に接種し,木質炭化素材細孔内に集積させる。この分解細菌集積木質炭化素材を農薬汚染土壌に直接混和し,還流することにより,土壌中で安定的に分解能を発現させ,残留農薬を吸着・分解除去することができる。
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背景・ねらい |
難分解性有機化合物(ダイオキシン類,PCBs,農薬等)による作物,土壌や水の汚染が深刻な環境問題になっている。これら汚染物質の除去技術として,バイオレメディエーションに期待が寄せられている。しかし,分解菌の分解能を汚染環境中で長期間,安定的に発現させる技術は開発されていない。そこで,木質炭化素材を用い土壌中から単離した難分解性農薬分解細菌を木質炭化素材細孔内に集積させ,この分解細菌集積木質炭化素材を直接汚染土壌に混和することにより,土壌中で安定的に分解能を発現させ,残留農薬を吸着・分解除去することを目的とする。
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成果の内容・特徴 |
- 分解細菌を最も効率よく集積できる木質炭化素材1)を還流装置に充填し,寒天培地ごと切り取ったシマジンあるいはPCNB分解細菌(Burkholderia sp.)を接種し,培養液(シマジンあるいはPCNBが唯一のC・N源)を2~3週間還流することにより,単離したシマジンあるいはPCNB分解細菌のみを素材細孔内に集積させることに成功した(図1)。なお,単離したPCNB分解細菌は液体培地中のPCNB(3.7mg/l)を5日間で好気的に完全脱塩素分解する。
- 人工的に作成した農薬(シマジンあるいはPCNB)汚染土壌20g(乾土相当)に対し上記で作成した分解菌集積素材0.25gを混和し,還流試験を3~4週間行なった。その結果土壌中の農薬は99%以上分解され,試験期間中の還流液中には農薬は殆ど検出されなかった(農薬分解副産物のCl-を検出)(図2,表1)。
- 汚染土壌に混和した分解菌集積素材から流出する可能性がある分解細菌は還流液中及び土壌中から検出されず(検出感度は還流液で10個/ml、土壌で102個/g乾土),還流試験終了後(4週間後)も木質炭化素材内に108個/g乾物レベルが生残していた。
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成果の活用面・留意点 |
農薬分解菌集積木質炭化素材は,分解細菌による二次汚染が少ないため,農薬による水質汚染防止や土壌残留農薬分解除去を目的としたバイオレメディエーションのための素材として,汚染現場で利用することができる。また,高い脱塩素能を有するPCNB分解細菌はダイオキシン類等難分解性有機塩素系化合物の分解にも応用可能である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
病害虫
農薬
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