タイトル |
オオタバコガの飛翔特性 |
担当機関 |
農業環境技術研究所 |
研究期間 |
1999~2000 |
研究担当者 |
|
発行年度 |
1999 |
要約 |
オオタバコガの性成熟に関連した飛翔特性を明らかにした。本種は羽化3日後に卵巣が発育して交尾する。雌雄ともこの時期に最も活発に飛翔するが,既交尾雌は飛翔活性が低くなり,その日周性が変化する。
|
背景・ねらい |
オオタバコガは1994年以降日本国内各地で多発生し,ナス科果菜類や花卉類をはじめとする各種の作物に大きな被害を与えている。本種は東南アジア,インド,アフリカで移動性害虫として知られており,国内でも,これまでに発生がみられなかった地域で突発的に発生するなど,発生の予測が難しい。また,幼虫は作物体に潜り込んで食害するため薬剤防除が難しい。このため,性フェロモン利用による発生予測や黄色蛍光灯による忌避等の防除対策が検討されている。オオタバコガの発生を予測して防除を的確,有効に行うために,本種の飛翔行動の特性を交尾,産卵等の性成熟と関連付けて知ることが必要となる。
|
成果の内容・特徴 |
- オオタバコガは羽化3日後には大半の個体で卵巣が発育して交尾し,すぐに産卵を始める(図1)。
- アクトグラフによる測定で,未交尾成虫は雌雄とも羽化3~4日後に最も高い飛翔活性を示す。交尾後の雌雄の飛翔活性は低くなり,雌ではその後も低く経過する。しかし,雄では交尾2日後には未交尾雄と差がなくなる(図2)。
- 連続飛翔活性時間は未交尾成虫では羽化3~4日後に最大になり,1夜の連続飛翔活性時間は最大で約3時間である。交尾後の雌の連続飛翔活性時間は最大で1時間強と,未交尾雌に比べて短いが,交尾雄と未交尾雄とでは差がない。
- 未交尾雌雄は暗期の始めと終りに飛翔活性のピークがある日周性を示す。交尾雌は飛翔活性が低く,暗期始めに飛翔活性のピークがみられるが暗期終りのピークはなくなる(図3)。雄では未交尾の場合と大差ない。
|
成果の活用面・留意点 |
- この結果はオオタバコガ成虫の移動予測や忌避対策の基礎データとして利用できる。
- 試験は22℃で行われたもので,気温によっては卵巣発育の促進,あるいは遅延が生じ,これに連動して飛翔活性の日齢変化も促進,遅延する。
|
図表1 |
|
図表2 |
|
図表3 |
|
カテゴリ |
病害虫
害虫
性フェロモン
なす
防除
薬剤
|