Key-factor/key-stage分析による生命表解析

タイトル Key-factor/key-stage分析による生命表解析
担当機関 農業環境技術研究所
研究期間 1998~1999
研究担当者
発行年度 1999
要約  生物の個体数変動にもっとも大きく寄与している環境要因(key-factor)ともっとも大きく寄与している発育ステージ(key-stage)を判定するための解析手法を提案する。この方法により,どの環境要因がどの発育ステージに作用することによってその生物の個体数を決定しているかを判定することが可能となる。
背景・ねらい  生物の個体群動態は気温や食草などさまざまな環境要因によって影響されており,またそれらの要因は生物のさまざまな発育ステージにおいてその影響を発現している。これらのうち個体数変動に最も大きく寄与している環境要因をkey-factor,最も大きく寄与している発育ステージをkey-stage と呼ぶことができる。本成果では,key-factorとkey-stageを判定するための方法としてkey-factor/key-stage分析を提案する。
成果の内容・特徴
  1. 第i ステージの生存率の逆数の対数値をKi とし,全ステージを通じた生存率の逆数の対数値をK とする。すなわちKi = -log(Ni + 1/Ni ),K = Σ Ki とする。従来から用いられてきたkey-factor分析では,K変動とKi変動を相互に比較することによりK変動にもっとも寄与している発育ステージをkey-factorとして判定していた。図1はVarley-Gradwell(1960)型のkey-factor分析をタマナギンウワバ幼虫の1齢期,2齢期,3齢期の死亡率の変動に適用したものである。この場合,Kの変動ともっとも近い変動を示しているのは3齢期の死亡率k3であることから,従来の方式では3齢期がkey-factorとみなされる。しかし,これはkey-factorではなくkey-stageである。
  2. Smith(1973)型のkey-factor分析とANOVAを組み合わせることにより,表1のようにK分散V (K ) を各発育ステージと環境要因に分解することができる。ここでは環境要因としてタマナギンウワバの食草であるキャベツの栽植間隔の効果と実験場所(ブロック)の効果を取り上げている。この表の右端列から栽植間隔の要因がkey-factorであると判断され,最下行から3齢期がkey-stageであると判断される。また,栽植間隔の行を見ると1齢期,2齢期,3齢期の寄与はそれぞれ21.7, 55.9, 150.1であり,3齢期の寄与が大きいことから,栽植間隔の影響は主として3齢幼虫の生存率を通じて働いていることがわかる。これら環境要因と発育ステージの間の関係は図2ように表現すると理解しやすい。表1の数値は多変量分散分析(MANOVA)を実行できる統計解析ソフトウエアを用いれば容易に計算することができる。
成果の活用面・留意点  この方法は生命表解析だけでなく,植物の生長解析,薬剤の効果試験などさまざまな方面で応用することができる。
図表1 225249-1.gif
図表2 225249-2.gif
図表3 225249-3.gif
カテゴリ キャベツ 薬剤

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