タイトル |
果樹を加害するハマキガ類に対する新交信攪乱剤 |
担当機関 |
農業環境技術研究所 |
研究期間 |
1999~2001 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1999 |
要約 |
果樹のハマキガ類の防除を目的とした交信攪乱剤に対し,リンゴコカクモンハマキの感受性低下が一部地域で懸念されている。そこで,これに代わるものとして性フェロモン関連化合物6成分からなる新しい交信攪乱剤を開発した。新交信攪乱剤は誘引阻害および新梢枝の被害防止に有効に作用する。
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背景・ねらい |
リンゴコカクモンハマキは有機リン剤などに対して抵抗性を獲得しており,殺虫剤による防除は難しく,ナシおよびリンゴの新梢枝や果実に被害をもたらす。新潟県白根市では1994年から従来の交信攪乱剤を200haのナシ園に設置し,非常に有効であったが,最近一部に被害が認められるようになった。チャノコカクモンハマキでは従来の交信攪乱剤に対する感受性低下が認められているが,本種はその近縁種であり,性フェロモンも共通しているため,同じ現象が起きている可能性が考えられる。そこでリンゴコカクモンハマキの感受性低下が懸念される個体群に対しても有効に作用する新しい交信攪乱剤の開発を行った。
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成果の内容・特徴 |
- 新交信攪乱剤は(Z)-11-テトラデセニルアセタート,(Z)-9-テトラデセニルアセタート,(Z)-9-ドデセニルアセタート,11-ドデセニルアセタート,10-メチルドデシルアセタートおよび(Z)-11-テトラデセノールを,76:15:4:2:2:1の割合に混合した剤である。
- 従来の交信攪乱剤(ハマキコンR )を設置したナシ園では発生予察用フェロモントラップにリンゴコカクモンハマキが誘殺された。また,新梢枝の被害が5~25%認められ,感受性低下が示唆された。一方,新交信攪乱剤を設置したナシ園では発生予察用フェロモントラップへの誘殺および新梢枝への被害がなく(表1),高い交信攪乱効果と防除効果が認められた。
- 農薬による慣行防除園では発生予察用フェロモントラップによる誘殺数が比較的多かったが,新交信攪乱剤を設置した園では皆無であり,高い交信攪乱効果が確認された(表2)。
- 従来の交信攪乱剤は150本/10aを5月上旬,7月中旬の年2回設置する必要があったが,新交信攪乱剤は150本/10aの年1回設置で有効であった。
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成果の活用面・留意点 |
- 新交信攪乱剤は年1回,150本/10aを基準とし,成虫の発生前に設置する。
- 交信攪乱効果の簡易な判定法として発生予察用フェロモントラップによる誘殺数を調査し,誘殺されていないことを確認する。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
病害虫
性フェロモン
抵抗性
農薬
フェロモン
防除
りんご
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