タイトル |
畑地・林地土壌によるメタン,一酸化炭素および水素ガスの吸収 |
担当機関 |
環境管理部 |
研究期間 |
1999~2001 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1999 |
要約 |
農業生態系による微量気体の吸収機能評価のため,土壌によるメタン,一酸化炭素,水素の吸収速度を調べた。吸収速度は,水素,一酸化炭素,メタンの順に大きく,拡散過程によって大きく支配されていることが推察された。
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背景・ねらい |
農業生態系の大気浄化機能については,植生への窒素化合物,硫黄化合物およびオゾンなどの乾性・湿性沈着をのぞいて,ほとんど知られていない。一方,地球温暖化防止に向けて農業部門においても温室効果ガスの発生(ソース)・吸収(シンク)の収支の評価や発生量削減技術の開発が求められている。そこで,温室効果ガスであるメタンの農業生態系におけるソース・シンクの収支の評価に資するため,畑地(コムギ,セスバニア)および林地(アカマツ林,林床アズマネザサ)土壌による吸収速度を明らかにする。なお,大気から土壌中へのガス移動を解析するため,温室効果関連気体である一酸化炭素,および気相中におけるガス拡散定数が異なる水素も合わせて測定した。
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成果の内容・特徴 |
- 畑地(図1)・林地(図2)における吸収速度の大きさは,水素,一酸化炭素,メタンの順であった。メタンについては海外等の報告(畑地:0-0.05×10-2cm s-1,林地:0-0.5×10-2 cm s-1)と比べて大きな値となった。水素,一酸化炭素については海外の報告と同程度の値であった。
- メタン,一酸化炭素および水素の吸収速度は,TDR法によって得られた土壌水分量(2cm深)が増加すると減少した(図1,2)。これは,土壌水分が多いほど,土壌中のガス拡散が妨げられることを表している。
- 林地におけるメタンの吸収速度は,畑地の3倍程度であり,吸収フラックス(= 吸収速度×大気濃度)に換算しても同程度の違いが認められた(図3)。これは,林地と畑地の微生物吸収活性の違いによる(Keller et al., 1990, Global Biogeochemical Cycles, 4, p21)。メタン吸収活性は窒素肥料の施肥により低下するため,施肥のある畑地で吸収速度が小さい。一方,水素と一酸化炭素の吸収速度については,畑地の方がやや大きいが,この理由として林地では土壌を覆う枯葉層がガス拡散の抵抗になっているため(Sanhueza et al., 1998, Tellus,50B, p51)と考えられた。
- 吸収速度の変動幅は畑地の方が大きかった(図1,図2)。季節変化は,林地でのメタンについてのみ認められ,夏季の吸収速度は冬季の2倍程度であった。
- 一酸化炭素と水素の吸収速度は,ワラの鋤込みにともない20%程度の増加が見られた(図4)。これはワラの鋤込み量が多い区ほど,体積含水率が少ないこと(1%程度)が一因として考えられる(図1)。
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成果の活用面・留意点 |
本研究結果は,IGBPの基礎デ-タとして活用できる。本報告で得られた結果は,黒ボク土壌についての結果であるため,他の土壌では異なる結果となる可能性がある。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
肥料
施肥
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