免疫化学測定法による河川水中の除草剤メフェナセットおよびシメトリン等の測定

タイトル 免疫化学測定法による河川水中の除草剤メフェナセットおよびシメトリン等の測定
担当機関 農業環境技術研究所
研究期間 2000~2000
研究担当者
発行年度 2000
要約  河川水中の除草剤メフェナセットおよびシメトリン等の測定手法として免疫化学測定法(ELISA)は簡便な操作で高感度測定が可能である。この測定法はガスクロマトグラフ法と良好な一致を示し,河川水中の環境モニタリング分析法として利用できる。
背景・ねらい  わが国の水田では雑草防除のため田植えの前後に複数の有効成分を含む製剤が散布されている。これらの除草剤の一部は排水路を経由して河川へ流入し,それらの成分が河川水中からしばしば検出される。残留農薬の野生生物への影響を評価するには,それらの環境中濃度を把握する必要がある。しかるに,通常行われている残留農薬の測定法は,高度の分析技術,高価な測定機器および高額の経費を必要とし,そのことが農薬の環境モニタリングの実施を困難にしている。
 そこで,メフェナット用免疫化学測定法(Enzyme-Linked Immuno Sorbent Assay, ELISA)試薬キットおよび市販のトリアジン除草剤用キットを用いて河川水中の残留農薬の濃度変化を測定し,ELISAの有用性を確認した。
成果の内容・特徴
  1. 河川水中の水田用除草剤メフェナセットおよびシメトリン等の残留濃度測定法としてELISA法の評価を行うためガスクロマトグラフ(GC)法との比較を行い,両者の測定値間には良好な一致を見た(図1および2)。
  2. フェナセットELISA試薬キットは共存する可能性の高いベンスルフロンメチル,ピラゾスルフロンエチルおよびアジムスルフロンのスルホニル尿素系除草剤,シマジンおよびシメトリンのトリアジン系除草剤,チオベンカーブおよびプレチラクロールの酸アミド系除草剤とは1000ng/mlで交叉反応性を示さず,極めて特異性が高かった。0.025~8ng/mlの範囲で用量反応曲線が得られた(図3)。最小検出濃度は0.03ng/mlであった。メフェナセット測定値についてELISA法とGC法との相関性は極めて良好であった(図4)。
  3. シメトリン測定用ELISAキットは,米国STD社製EnviroGardTMTriazineキットが有用であった。このキットは,トリアジン系除草剤に対し感度の差はあるもののほとんどのものに反応性を示したが,共存する可能性のあるスルホニル尿素系あるいは酸アミド系除草剤に対して1000ng/mlで交叉反応性はなかった。定量範囲はシメトリンとして0.1~10ng/ml,最小検出濃度はシメトリンとして0.05ng/mlであった。当該キットのシメトリン,シマジンおよびジメタメトリンに対する反応性はわずかに異なり,シマジン>シメトリン>ジメタメトリンの順に感度が異なった(図5)。
成果の活用面・留意点  ELISA法は残留農薬のモニタリング法として極めて有用であるが,再現性のある測定結果を得るために分析操作の習熟が必要である。また,本法は未知の交叉反応性の存在を否定しきれないこと,試料のpH(pH6~9の範囲の試料は測定可)および有機溶媒の影響(メタノールとジメチルスルホキサイドは使用可)を受けることなどに留意する必要がある。
図表1 225283-1.gif
図表2 225283-2.gif
図表3 225283-3.gif
図表4 225283-4.gif
図表5 225283-5.gif
カテゴリ 病害虫 雑草 除草剤 水田 農薬 分析技術 モニタリング

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