タイトル |
時系列衛星画像による水稲の広域的な作付け分布及び作付け時期の解明 |
担当機関 |
農業環境技術研究所 |
研究期間 |
1997~2000 |
研究担当者 |
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発行年度 |
2000 |
要約 |
時系列で得られるNOAA衛星データを利用し,乾季におけるタイ国チャオプラヤーデルタの水稲作付け時期別分布図を作成した。これは,従来の農業統計データからは得られない面的情報であり,これによって作付時期の地域的な違いが明らかとなった。
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背景・ねらい |
タイ国チャオプラヤーデルタでは,乾季の水利用は制約が厳しく,水を大量に消費する水稲作の効率化をはかる必要に迫られている。約200万ha(灌漑区内)のチャオプラヤーデルタ全体を対象とした作付け状況を面的に把握することは重要な課題である。広域にわたって直接現況を把握できる衛星リモートセンシングの利点を活かし,時系列で得られる衛星データから水稲の作付け状況および作付時期を精度良くモニタリングする手法を開発する。
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成果の内容・特徴 |
- タイ国チャオプラヤーデルタ全体(約200×200kmエリア)を対象とし,平年時における乾季水稲作付け動向の把握を試みた。光学センサとして,空間分解能は低い(約1km)が,時間分解能の高い(2回/日)NOAA/AVHRRデータを用いた。97年1月~6月期間に取得されたNOAA/AVHRRデータセットを用いて,96/97年度乾季(ここでは96年11月~97年4月)における水稲の作付け状況および作付け時期を検出・推定し,デルタ全体の水稲作付け時期別分布図を作成した(図1,以下作付マップと略称)。
- 作付マップにより,デルタ内の作付け時期の地域的な違いが明らかとなった。その特徴は作付時期を前期(EARLY:96年11月~12月)・中期(MAIN:97年1月~2月)・後期(LATE:97年3月~4月)の3時期に区分することでよく捉えられる。
- 作付け時期について,県毎の農業統計データと比較したところ良い対応関係が見られ(図2,図3),統計情報からは得られない地域的な作付け動向を把握することができた。
高解像度衛星データ(空間解像度約20~30m)では,観測領域は限られるものの,より詳細な空間解像度で作付状況を把握することができる。しかし,観測頻度が低い(月2回程度)ため,雲による観測不能期間が存在する。これに対し,観測頻度が高いNOAAデータからは乾季全期間を通じた植生の時系列変化情報が得られるため,作期のずれによる数え落とし・他の植生との混同が無くなり,信頼性の高い分類結果が得られる。
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成果の活用面・留意点 |
- 作成されたチャオプラヤーデルタの作付マップは,農林水産省衛星画像データベースシステムを利用することで,他の年度についても作成可能である。
- 広域的な分布を知るにはNOAAデータで充分であるが,圃場レベルのより詳細な現地作付け情報の取得には,高解像度衛星の利用が必要である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
水稲
データベース
モニタリング
リモートセンシング
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