短波長赤外反射特性に基づいた作物収穫残渣の土壌被覆率計測手法

タイトル 短波長赤外反射特性に基づいた作物収穫残渣の土壌被覆率計測手法
担当機関 (独)農業環境技術研究所
研究期間 2001~2005
研究担当者 ニューヨーク大)
井上吉雄
小川茂男(現
農工研)
美濃伸之(現
姫路工大)
富田淳志(現
発行年度 2001
要約 作物収穫残渣による土壌被覆率を推定するために有効な反射スペクトル特性を探索し,短波長赤外の2000nm,2100nmおよび2200nmの反射率に基づく指数が作物収穫残渣による土壌被覆率の推定において有効であることを示した。
背景・ねらい 作物収穫残渣による土壌表面の被覆は,土壌侵食防止,土壌水分保持,および,有機物還元等の効果がある。しかし,この作物収穫残渣による保全対策の実践状況については,正確な調査データがほとんどない。この地上調査は,調査ロープ上に交差する植物片の数を計数するもので,膨大な労力と時間を要し精度も低い。また,空中カラー写真の利用は,作物収穫残渣と土壌の色調が類似しているため両者を区別することが困難である。このため,作物収穫残渣による土壌被覆率を,リモートセンシング技術により広域的に定量評価するための反射スペクトル特性を探索した。
成果の内容・特徴
  1. カラー写真上では,土壌と作物収穫残渣は両者が類似した色調で区別が困難であるが,反射スペクトルの間には大きな差があり容易に識別できた(図1)。
  2. 土壌4種類 (赤黄色土,灰色低地土,厚層腐植質黒ボク土,淡色黒ボク土)上に作物収穫残渣4種類(イネ,ダイズ,トウモロコシ,コムギ)を散布した状態で,反射スペクトルを計測した。作物収穫残渣の土壌被覆率の増加に伴って地表面の反射スペクトル特性は大きく変化した。しかし,可視~近赤外の反射スペクトルは植物の種類や水分に大きく影響され,作物収穫残渣に特有な特徴は見つけられなかった。一方,短波長赤外域の2000~2200nmに作物収穫残渣に特有な反射スペクトルパターンが見出された(図2,図3)。
  3. (図3)。
    CRI= (R 2000+R 2200)/2-R 2100
  4. この反射指数CRIの値は,土壌や植物の種類によらず,作物収穫残渣による土壌被覆率の増加とともに増加する強い正の相関があった(図4)。
成果の活用面・留意点
  1. 短波長赤外を利用した反射係数CRIは,作物収穫残渣による土壌被覆度の広域的・省力的な定量評価法の開発に有効と考えられる。衛星,航空機,またはトラクタ等に,短波長赤外域センサを登載することにより,各種スケールでの作物収穫残渣による土壌表面の被覆マップを作成することが可能である。
  2. 作物収穫残渣は,枯れあがったものを想定しており,残渣が緑葉のものについては適さない。
図表1 225320-1.JPG
図表2 225320-2.JPG
図表3 225320-3.JPG
図表4 225320-4.JPG
カテゴリ カラー 大豆 とうもろこし 評価法 リモートセンシング

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